乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防と原因|午睡中・お昼寝保育の死亡事故を防ぐ
災害大国・日本。毎年台風や地震、またはそれによって引き起こされる様々な災害が後を絶ちません。大切なお子さんの命をお預かりしている保育園は、しっかりとした対策と備えをしておくことが必要です。具体的にどういった対策や備えが必要なのか考えてみましょう。
2011年3月11日におきた「東日本大震災」をふまえ、全国保育協議会(社会福祉法人 全国社会福祉協議会)は、「東日本大震災に学ぶ」~子どもたちを災害から守るための対応事例集~を作成しました。この事例集は、実際の震災時に子どもたちへ行った保育園や保育士の対応事例を記載したものです。子どもの生命保持、連絡方法、避難場所で保育士が専門職としてできる対応と、時間が経って見直した後、改善点として考えられたことがまとめられています。災害対応について考える時、保育園の運営側はもちろん、職員すべてが熟読し、自分たちの地域や保育園に合った方法を考えていきましょう。
「東日本大震災に学ぶ」~子どもたちを災害から守るための対応事例集/全国保育協議会より
保育園の中での役割分担をあらかじめ決めておくことが一番大切なことです。
いざという時に落ち着いて対応できるよう、避難訓練などでシミュレーションを繰り返しましょう。
まずは最低限でもこれだけは、フローチャートとして作成し、災害マニュアルに記載しておきましょう。また、マニュアルがあっても緊急時には優先順位を探すのに時間がかかるため、簡易的な緊急対応マニュアルを作成しておくこと、エプロンのポケットに入るサイズの小さなマニュアルを作成しておくことなども必要です。子どものそばにつく、運営側との連絡を取る、保護者の連絡をする、持ち出すものの用意をする、自治体との連絡を取るなど、担当などを決めておきましょう。また、それぞれの担当任せとせず、実際にどういった動きが必要か全員でシミュレーションし、問題点や抜け落ちていることがないか、確認しておくことが大切です。
避難訓練は、災害が実際にあったときも落ち着いて行動するための訓練です。決して、子どものためばかりの訓練ではありません。ついつい毎月の「お集まり」の感覚で、事務的に淡々と行い、集まるだけに終わってはいないでしょうか。避難訓練は、災害時のシミュレーションをする大切な機会となります。子どもの動線や避難経路の見直し、起こりうる状況の想定、子どもがぐずって歩かなくなったときの役割分担など、職員や保育士は実際を想定しながら行うことが大切です。また、集まって終わるだけではなく、子どもの意識を高めるためにもできることがあります。
さらには、地域の人との避難訓練も経験しておくと良いでしょう。保育園に地域の人へ来ていただき、一緒に避難をすることで地域の人の力を借りることができ大勢の子どもの命を守ることができます。また地域の人は保育所を通して自治体の情報を得やすくもなります。避難訓練を地域の人と一緒に行うことで、実際の災害の時もスムーズに対処することができるのではないでしょうか。ぜひとも協力して助け合っていきましょう。
災害時は連絡すべき場所への連絡網を作りフローチャートにしておきましょう。
連絡網だけではなく、ライフラインの断絶に備えた連絡手段も整えておきましょう。どういった状況のとき、どのような手段で連絡をするのかも決めておくことが大切です(メール・電話・災害伝言板など)。避難訓練とあわせて連絡網を回す練習も行っておくことが大切です。子どもの引き渡し方法も明確にし、ぜひとも保護者にも協力をして頂きましょう。保育の現場にICTシステムを導入することで、簡単に保護者に緊急連絡することが可能となります。この機会にICTシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
保育のICTシステム
トップクラスのデザイン性
キッズダイアリーの紹介
ハザードマップとは、保育園周辺の情報や避難ルートを把握するために作る地図のことです。これは災害時だけではなく、普段の保育にも生かされる情報になります。過日も散歩中の保育園児が事故に巻き込まれる悲惨な事件がありました。このように、普段何気なく使っている散歩道や公園にも、見直してみると危険があるかもしれません。また、季節によってのマップの変化も考えられます。
職員一人ひとりが感じたことや、気づいたことを情報として更新していきます。どんな小さなことであっても、職員間で見直し、話し合い、様々なことを想定しておくことが大切です。子どもの命を預かる保育園は命を守る責任があります。災害時だけなく、普段の保育でも何かあった場合は信頼を一瞬で失ってしまいます。わかっていること、慣れたことであっても、一つひとつ確認し、気を引き締めておきましょう。
防災マニュアルやハンドブックは多くの自治体で発行されています。それを見比べながら自分の保育園に合ったものを作っていくのも良いでしょう。また、経済産業省から発行されている「想定外から子どもを守る 保育施設のための防災ハンドブック」は、認可保育所・認定こども園・幼稚園・認可外保育所対象のマニュアルです。
上記の3点を指針にして「子どもたちを守るチカラ」を付けていくことが大切であることからスタートし、本当にあった事例や、持ち物・連絡先リスト・防災グッズを始め様々な情報がイラストをまじえて記載されています。さらに、警戒警報・火災・地震・台風・水害・津波・火山爆発・原子力災害などの災害に合わせた避難方法、心のケアに至るまで、様々な情報が網羅されています。こういったマニュアルを参考に自分の地域や園に合わせた独自のマニュアルを作成しておきたいものです。
災害はいつ起きるかわからないからこそ、防災用具や備品はいますぐにでも用意しておくことが大切です。
などを各保育室へ置いておき、いざというときは持ち出せるようにまとめておきましょう。
また、保育園として準備しておきたいものも点検を行い、準備しておきましょう。
子どもを保護者に引き渡すまで、また避難所に移動してからも食べ物や飲み物の備えがあれば安心です。日持ちするものを最低3日分ほど用意し、水濡れなどしないようにビニール袋に入れて保存しておきましょう。点検の際は賞味期限を確認しておくことも忘れずに行いましょう。また、自分の保育園が避難場所になることもあるかもしれません。そういった際の対応も自治体などとよく確認し合い、用意をしておきましょう。
保育のカタログ
防災用品の紹介
災害はいつ起こるか分かりません。保育園は子どもたちの命を預かっているからこそ、事前にしっかりと準備が必要です。防災グッズや備品の準備はもちろん、役割分担や連絡網、避難ルートなどをマニュアル化し、機会があるごとに再認識することも必要です。しかし、マニュアルに従うことだけがすべてではありません。慌てないこと、想定をする意識が必要です。意識・知識だけではなく、災害が起きてしまった際に密でスムーズなコミュニケーションを取ることができる人間関係も大切なことです。保育園の運営サイドはもちろん、職員全てが保育園の規模、子どもの状況、保護者との連絡、周囲の環境、地元の環境、地域との連携を客観的かつ冷静に見直し、コミュニケーションを取りながら常に新しい情報を得て災害に備えておきましょう。