ゲート・サークル・パーテーションで保育園・幼稚園の保育室を仕切る
ペープサートは昔からある保育の技法のひとつで、紙でつくる人形劇のことです。
絵本の内容を表現するほか、歌遊びなどにも使われます。楽しい使い方や題材と、年齢別のねらいをご紹介しましょう。
ペープサートとは、紙に絵を描き、棒をつけ、動かして演じる紙製の人形劇のことを言います。裏返すと別の絵になっていたり、表情や色が変わったりするので、平面でありながら動きのある演出ができます。人形劇だけではなく歌遊びや、手遊び、クイズや創作のお話しなど様々な題材に利用し、子どもたちを楽しませることができます。
日常の保育から、イベント・行事まで幅広く活用できることから、保育園では、
など、様々なねらいで使われています。
ペープサートはどのように作るのでしょうか。材料や作り方をご紹介します。
・画用紙
・ペンやクレヨン
・割りばしやたけひごなど、持ち手になるもの
・はさみ
・のり
・セロテープ
材料を保育のカタログで探す
1.画用紙にイラストを描く。
2.色を塗る。黒のペンで輪郭を付けてから色を塗るとはっきりとして見やすい。
3.輪郭より少し外側をカットしていく。裏側になる画用紙も一緒にカットする。
4.裏側にイラスト描く。表側と表情や動きを少し変えると楽しい。
5.割りばしや竹ひごなどを画用紙の裏側に付け、2枚の画用紙ではさんで糊付けをする。
ペープサートの演じ方のコツとしては、
以上のことを意識してやってみましょう。
子どもが楽しめるペープサートと、そのねらいを対象年齢別にご紹介しましょう。
歌遊びを歌や言葉だけではなく、視覚を通してイメージしながら楽しませることがねらいです。未満児クラスは言葉の成長に個人差が大きい時。色の名前や違いを覚えていない子どももいます。皆が楽しみながら、色やその色のイメージするものを歌とペープサートで伝え、あそびながら覚え習得することがねらいです。
同じ形でも裏表が違うイラストで変化を楽しませ、歌遊びを視覚からも楽しませてあげましょう。
未満児クラスは言葉の獲得、色の認識、色からものをイメージすることに対してまだまだ成長の差が大きい時期です。カラフルな風船のペープサートにきっと喜んで一緒に口ずさむようになることでしょう。
赤い風船の方を見せながら、左右に揺らしゆっくりと歌う
「赤い風船ルルルー、そっと風にあげたら、ふわっふわーふわっふわー」
ゆっくりと裏側にする
「赤いりんごになった」
次にオレンジの風船を見せながら、左右に揺らしゆっくりと歌う
「オレンジの風船ルルルー、そっと風にあげたら、ふわっふわーふわっふわー」
ここで子どもたちの顔をみながら「何になるかな?」と聞いてみる
声をある程度聞いたら「オレンジのみかんになった」みかんになったね!と声をかける
以下、様々な色で繰り返していく。
色をイメージし子どもたちから色々なものの名前が出るはずです。一つひとつゆっくりと取り上げ、「そうだね、トマトも赤いものね」「イチゴ甘くておいしいよね!」などと発言を認めながら進めていきましょう。子どもは自分の発言を取り上げてもらい、認めてもらうことで、自信が付き心の安定につながります。また、さらに保育士のペープサートへ集中することへつながるでしょう。また、保育士が一人ひとりの言葉を丁寧に取り上げることで、友達の存在も意識することでしょう。
子どもの好き嫌いは食べず嫌いのことも多くあります。ペープサートで好き嫌いなく何でも食べる動物やキャラクターを見ることで、自分も食べてみようかな?というきっかけ作りにつながることがねらいです。
給食の前など、準備までの間のスキマ時間に使いたいネタとして、動物やひとの口の部分に大き目な穴の開いたペープサートを用意し、食べ物を入れていくという内容はいかがでしょうか。ペープサートの口に食べ物を入れるのは、子どもたちにしてもらうのもいいですね。
口の部分にはビニール袋をつけておくとよいでしょう。
子どもとのやり取りを大切にしながら進めても良いですし、保育士が進めても良いでしょう。その日の給食の献立をイラストに描いて切り取り、ペープサートの口の中へ入れていくのも良いですね。その時の子どもの状況や好き嫌いなどに合わせて臨機応変に演じることが大切です。最後に歯磨きをするのも楽しいでしょう。
数を数えることへの興味・関心を持たせ、数の数え方を視覚を通して覚えることがねらいです。また、手をつなぐことを嫌がる年齢なので、ペープサートを通して意識を高めるねらいでも演じることができます。
同じ形をつなげて切り取ることができるよう、画用紙を「じゃばら折り」にして切り取ります。動物でも人間でも良いでしょう。1枚ずつ広げていくことで、キャラクターがつながり手をつないでいるように見えるかと思います。人数を数えたり、手をつないで出かけることの大切さを演じたりします。
子どもと一緒に数を数えるとき、ペープサートに実際の数字が書いてあるとよりいいですね。数字という文字と、実際の数、数え方を多方面からの学習が可能ではないでしょうか。また、手をつないでいるキャラクターが少しずつ増えていくことの楽しさや不思議さ、ペープサートが全てつながっていることなどに興味を示したら、そのまま同じような制作につなげることもできます。じゃばら折りをし、一部分を残して切るとつながっているという面白さを体験させてあげましょう。
子どもにとって待ち時間は退屈で長いもの。そのような時間は絵本や紙芝居を見て過ごすことは多くなりますが、ペープサートを使ってクイズ大会なども楽しめます。友達や保育士との言葉でのやり取りを通して、人との関りの楽しさを感じられるのがねらいです。クラスみんなでイメージを共有して楽しむことで、クラスのまとまりも高まるでしょう。待ち時間も楽しく実りのある時間になるはずです。
箱や袋の中に動物や食べ物、植物などいろいろなペープサートを入れておき、中身を見ないようにしながら一人ずつ子どもに引いてもらいましょう。でてきたペープサートに対してテーマに添ったことをします。
例えば、いろいろな種類の動物に対しては、
その動物の色は何色かな?
泣き声は何かな?
どんな歩き方をするかな?
などと質問をします。次の活動までのスキマ時間に使えるのではないでしょうか。
くじ引きのように引いたペープサートに対する質問を、見ている子どもにさせても良いですね。自分で考えて質問をする楽しさを感じられるでしょう。また、引いて答える方、質問をする方、双方の役割を楽しめるでしょう。
年度初めなどに制作し、お遊戯会や誕生日会の出し物などにも取り入れても良いでしょう。何かの役になりきって演じること、友達の作品を認めること、友達と仮想の世界で関わる楽しさを感じることなどがねらいとなるでしょう。
年長になることで、友達や自分への意識も一層高まりますね。子どもが自分の似顔絵を描いたり自分のお気に入りのマークを描いて自分のペープサートを作ってみてはいかがでしょうか。出席を取る、お当番の時にマークに使う、グループ分けや誕生表に使うなど、自分のペープサートを使うことで保育園生活も楽しくなることでしょう。ペープサートを使って友達同士で話したり、ごっこ遊びもできますね。保育士が、くじ引きなどに使うのも良いのではないでしょうか。
年長児クラスになっても絵を描くことが苦手な子どももいます。自分の似顔絵を描くのはハードルが高いかもしれません。そんな時は好きな食べ物や好きなもの、好きな絵本の登場人物などでも良いでしょう。ペープサートを使うことが楽しみになるように促したいですね。子どもたちが制作する場合は、持ち手の割りばしや竹ひごの扱いには十分に気を付け、見守りましょう。
ペープサートは人形劇のように保育士が演じる他にも、用途が様々に広がる保育道具だということがわかりました。様々な大きさや種類を作って、すぐに使えるように備えておきたいですね。折り紙などを折って持ち手を付けるだけでもペープサートになりますよ。オリジナルのペープサートで保育に彩りを持たせましょう。