ベビーセンサー(体動センサー)でSIDS事故を防ぐ|午睡チェックの負担も軽減

ベビーセンサー(体動センサー)でSIDS事故を防ぐ|午睡チェックの負担も軽減

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2020年5月1日

乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)は、それまで元気だった赤ちゃんが、事故や窒息など何の前触れもなく、睡眠中に突然死亡してしまう病気です。未だ、SIDSの予防方法が確立されていませんが、予防するためにできることがないわけではありません。保育園の午睡中に起きることもあり、睡眠のチェックリストで記録をとったり、仰向けで寝かせたりと、保育士は日々対策をとっています。今回は、SIDSを予防するために、ベビーセンサー(体動センサー)を活用して、どのようなことができるのか、詳しく見ていきましょう。

ベビーセンサー(体動センサー)で午睡時の乳幼児突然死症候群(SIDS)を防ぐ

厚生労働省によると、乳児期の死亡原因としてはSIDS(乳幼児突然死症候群)が第4位となっており、平成30年には60名の乳幼児がSIDSで亡くなっています。
 厚生労働省普及啓発用リーフレットより
SIDSは、未だ原因が特定されておらず、事前に予知ができないため、予防するという観点が重要になってきます。保育園も例外ではありません。
午睡チェックや仰向け寝などの対応をしていますが、保育士が午睡中のチェックを怠ったことで死亡事故につながった事例もあり、SIDSの予防策の一つとしてベビーセンサー(体動センサー)を取り入れている保育園も増えています。
ベビーセンサー(体動センサー)は赤ちゃんの体動を感知し、いち早く異変を察知するセンサーです。一定時間動きがないとセンサーが振動して赤ちゃんを刺激するものもあり、ベビーセンサー(体動センサー)の導入は、保育園や保育士のみならず、保護者にとっても安心材料の一つになるでしょう。
 
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ベビーセンサー(体動センサー)を導入して保育士の仕事を軽減

午睡中も、連絡帳や計画を書くなど仕事に追われている保育士。休憩を取ることもままならず、休むまもなく働くことが理由で辞めていく保育士もいます。また保育士の仕事は子どもの命に直結するため、責任も重いといえます。

5分おきの午睡チェックは保育士も大変

保育士は園児の午睡中、「呼吸状態」「皮膚状態」「寝ている体勢」「汗や体温」などの全身状態を5分おきにチェックしています。午睡チェックは、異変を発見した場合に緊急的な対応を求められることや、重大事故につながることもあるため、責任が重い仕事です。さらに短い時間の間隔で行うため、他の仕事をしながらチェックを行うことは保育士にとって、負担を感じる仕事の一つです。

園児に異常があった場合にアラームで知らせてくれる

ベビーセンサー(体動センサー)は、午睡中に園児に異常があった場合、アラームで知らせてくれます。そのことにより、園児の異変を逃さず、さらに早く気付くことができ、SIDS事故を予防することにつながります。ベビーセンサー(体動センサー)は、お布団の下にセンサーを設置するだけで簡単に準備できます。設置によって睡眠を邪魔することがないよう、工夫された作りになっています。

午睡チェックをデータ化して長期に渡って保存できる

午睡チェックは保育園では必ず行わなければならず、記録も保管され、行政からの監査での提出書類ともなっています。ベビーセンサー(体動センサー)の作動による午睡チェックはデータ化され、長期に渡って保存できます。保育士による人的チェックよりも効率的かつ正確であるため、テータとしても有用性が高いでしょう。

助成金・補助金を使用して導入を検討する

ベビーセンサー(体動センサー)の導入は、対象園児の人数によって大きな費用負担が発生します。
厚生労働省は「保育園における児童の安全対策強化」の一つとして、午睡中の安全対策を一層強化するためにベビーセンサー(体動センサー)等の午睡チェック機器導入にかかる補助金を市区町村に交付しています。これまで保育園の業務改善や安全対策にかかる導入補助金として「保育所等におけるICT化推進等事業」がありましたが「保育所等における児童の安全対策強化事業」が加わったことで、午睡チェックにかかるセンサー機器を導入する場合も補助対象となりました。安全対策強化事業の助成内容としては、「子ども1人当たり3万円」や「1施設当たり100万円」など、自治体によって実施の有無や補助内容が異なります。
 
東京都文京区には「保育所等における児童の安全対策強化事業補助金」が設置されており「保育所等における児童の安全対策の強化を実施し、安全かつ安心な保育環境の確保を図ることに よって、児童の福祉の向上を図る」ことを目的としています。区内の私立認可保育所等が安全対策強化機器を導入し、午睡時のSIDS予防強化を図ることによっ て、児童の福祉の向上を図った場合に、その費用の一部を補助する仕組みです。区内の認可保育所等が「睡眠中に無呼吸となった場合にアラームが鳴る機器、一定時間うつぶせ寝をしている児童を感知するセンサーが内蔵の機器、仰向け寝姿勢を保つベビーチェア等」の午睡時に使用する機器を導入する際、費用の一部を補助しています。
上限「1,000,000円」の範囲内で補助を行っています。各園に対する補助額は、国の基準では「園児数×3万円」となっており、東京都は「1,000千円-国補助額」となっています。(参考:東京都における主な保育関連事業の概要
また板橋区の場合は、 私立認可保育園、小規模保育施設、事業所内保育所、認証保育所及び定期利用の保育事業所において1施設あたり100万円、公設民営保育所は1施設あたり50万円を補助する仕組みとなっています。1民営保育所等当たり1回限りの補助となっており、予算の範囲内で区長が定めています。

補助金施行のタイミングは自治体によって異なります。対象になる施設も、私立・公設民営認可保育所、認可外保育施設などのほとんどの保育所が対象になっていることもあれば、私立認可保育園だけに絞られているなどの違いがあります。詳細は担当部署までお問い合わせください。

まとめ

保育士不足や待機児童対策としても、保育士の業務量の軽減が急務になる中、園児の安全を守ることにも、一層の努力が求められています。今後も、保育園の環境整備や業務改善の強化が求められ、取り組む園とそうでない園の差が開いていくことが予想されます。これまで、保育士の人的配慮で行ってきた午睡チェックのあり方を見直し、ベビーセンサー(体動センサー)の導入を検討する園も増えています。未だ、予防法が確立されていないSIDSだからこそ、機器を活用し、万全の策を取ることをお勧めします。