乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防と原因|午睡中・お昼寝保育の死亡事故を防ぐ

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2019年12月25日

午睡中の乳幼児突然死症候群(SIDS)とは?

乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)は、それまで元気だった赤ちゃんが、事故や窒息など何の前触れもなく、睡眠中に突然死亡してしまう病気です。原因が特定されていないことと、事前に予知できないことが特徴で、窒息や心疾患による死亡とは明確に区別されています。厚生労働省が出している『乳幼児突然死症候群(SIDS)診断ガイドライン(第2版)』には、『それまでの健康状態および既往歴からその死亡が予測できず、しかも死亡状況調査および解剖検査によってもその原因が同定されない、原則として1歳未満の児に突然の死をもたらした症候群』と定義されています。平成30年には60名の乳幼児がSIDSで亡くなっています。乳児期の死亡原因としては第4位となっています。
厚生労働省普及啓発用リーフレットより

保育園側でできる予防対策

保育園において午睡中の死亡事故が起きた際は、解剖や調査が行われ、原因を解明していくことになります。その結果、乳幼児突然死症候群(SIDS)と診断されるケースもあります。内閣府子ども・子育て本部の「平成30年 教育・保育施設等における事故報告集計」の公表及び事故防止対策についてを見てみましょう。
睡眠中の死亡事故
これによると、保育所の死亡事故は認可園で2件、家庭的保育事業で1件、認可外で6件となっています。そのうち、睡眠中の事故が認可園で1件、家庭的保育事業で1件、認可外で6件となっており、全て原因が未確定・不明でした。その中にはSIDSの疑いも含まれていることでしょう。安全に命が守られるはずの場所での事故は、あってはなりません。午睡中のSIDSを防ぐために保育園としてできることは以下の3つだと考えられます。

定期的に呼吸を確認する

まずは、定期的に一人ひとりの呼吸の状態を確認することです。作業になってしまうことなく、チェックリストやマニュアルに沿って、丁寧に観察することが必要です。SIDSは窒息事故とは分けて考えられていますが、突然呼吸が止まることが、死亡の原因と考えられています。
保育士の負担を軽くできる、保育所用ベビーセンサーの活用を検討する事も良いでしょう。
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うつぶせ寝で午睡しない

乳幼児突然死症候群(SIDS)は、「うつぶせ寝」と「あおむけ」のどちらの体勢でも発症します。しかし調査結果では「うつぶせ寝」の際にSIDSの発症率が高いと出ています。


教育・保育施設等における事故報告集計
より
 
平成24年から7年間で、睡眠中の死亡事故のうち「うつぶせ寝」によるものは31件もありました。「うつぶせ寝」による発症についての明確な原因は発表されていませんが、「寝かせる時だけだから」と、うつぶせ寝にすることも避けたほうが良いことは事実です。また「あおむけ」に寝かせることで、午睡中の様子を丁寧に観察することできます。さらに、仰向けの睡眠は枕や布団による窒息事故を防ぐことにも繋がります。寝返りができるようになると、自然と「うつぶせ」になることもありますが、その際は顔色や呼吸の様子、表情などをさらに細かく確認するようにしましょう。

柔らかな午睡寝具で眠らせない

子どもたちが気持ちがいいだろうからと、ふかふかの布団や毛布を用意したくなりますね。心地良さそうに眠る姿を想像して、選んでしまった経験のある保育士も多いと思います。しかし、ふかふかの素材のものは、鼻や口がふさがれないよう特に注意が必要になります。保育施設という集団の場では、敷布団・マットレス・枕は乳児用の固めのものを用意するようにしてください。また、掛け布団は乳児でも払いのけられる軽いものを使用します。特に乳児の場合は、体の大きさと寝具のサイズがあっていないことで、身体全体が覆われてしまったり、呼吸の様子が見えにくくなってしまうことがあります。そして身体を温めすぎることも、リスクを高める原因となると言われています。適度な室温と、体温管理も心がけるようにしましょう。また、ベビーベッドにはサイドパッドやおもちゃ、スタイなどの呼吸の妨げになるものを置かないことも、SIDSの予防の1つです。カーテンのそばに寝かせない、エアコンの風が直撃する場所は避けるなど「呼気がこもらないよう」にすることで、呼吸がスムーズに出来る状態を作るようにしましょう。
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午睡チェックで乳幼児突然死症候群(SIDS)を防ぐ

3つの方法について書きましたが、その中で日常的かつ、定期的に行う「午睡チェック」について詳しく考えてみましょう。保育士は、園児の午睡中にも行うべき業務があるため、定期的にチェックすることができるように工夫することが必要です。
午睡チェックはチェック表を用いて、園児の

  • ・「入眠時間」
  • ・「チェックした時間」
  • ・「呼吸の様子」
  • ・「睡眠の体勢」
  • ・「記入担当者」

 
などを書き込み、確実に確認をすることと記録を残すことに、活用されています。また、確認するタイミングを逃さないように、タイマーで時間を計る工夫をしている園もあります。そして、睡眠チェックの際は園児に優しく触れることで「生きていることの確認」と、「外部からの刺激による、SIDSの予防」を同時に実施することができます。目視だけでのチェックでは、SIDSによる呼吸停止に気付くことが難しいという報告もありますので、睡眠を邪魔しない程度に、そっと触れてみるようにしましょう。また、睡眠中の部屋は暗くしすぎず、顔色や体の動きをしっかりと確認できるように努めましょう。
保育士の負担を減らし午睡チェックを簡単に行えるベビーセンサーもあります。


ベビーセンサー
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午睡チェックの間隔

リスクの高い0歳児の場合、5分おきのチェックが必要です。1歳〜2歳の場合は、10分おきが望ましいです。入園したての時期の発症率が高いというデータもあります。入園後1ヶ月は、特に注意してチェックしましょう。また体調不良時や休み明けなど、普段と違う状態の時は、保護者から丁寧に状態を聞き、午睡中は5分おきのチェックではなく、保育士が連絡帳を書くそばに寝かせておくなどの対応をしましょう。そうすることで、異変に早く気付き、万が一の場合でもすぐに対応することができます。

気をつけなければいけない年齢

生後2週間から1年が特に注意が必要と言われています。中でも月齢2~4カ月の乳児に最もよく起こります。預かり1週間以内のSIDS発症は、全体の3分の1、その半数が初日に発症しているそうです。預かり1か月以内のSIDS発症率が高いことも確認されています。預かり初期の乳児が疲労を感じていることや、環境の変化に伴うストレスによって、SIDSが発症していると考えられています。そのため年齢だけでなく、園児の出生児の状況や病気歴、日常の様子や入眠時の状態などを把握し、一人ひとりに合った対策をしていくことが必要です。
 
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まとめ

一人ひとりの保育者が日々のチェックや環境構成に対して「何のために行なっているのか」「異変に気付いた時に、どのように対処するか」について、しっかりと認識することが重要です。日々の業務を行うだけでは、細かな変化への気付きや、異変が起きた時に対応ができなくなってしまいます。また、うつぶせ寝の習慣があるお子様は、仰向き寝の習慣をつけていきたいものです。その場合、保護者にも理解を得た上で、協力してもらうことが必要となります。SIDSの発症リスクの要因としては、喫煙者が周りにいることや、母乳ではないことなども挙げられています。SIDSについて、保育園の中だけでなく、保護者にも周知することで、家庭でのSIDS予防にもつながります。保育施設は、子どもの発達に対して専門的な知識を有する施設です。日々の保育実践の中で培ったスキルを、家庭とも共有しながら、子どもたちの健全な育ちを保障したいものですね。