保育士がコロナウイルスに感染、休業補償・手当はどうなる?運営側が行うべき対応
緊急事態宣言が解除され、新しい生活様式に向けた保育を検討している園も多いようです。集団生活の中で、新型コロナウイルスへ対策をしていくことは容易ではありません。園児と保育士そして関わる家族にとって安心安全な保育を提供するために、今回は次亜塩素酸ナトリウムの効果と使い方について見ていきましょう。
次亜塩素酸は塩素のオキソ酸の1つです。
普段の生活の中では、酸化剤、漂白剤、外用殺菌剤、消毒剤として幅広く利用されており、数多くのウイルスや菌への殺菌効果があることで知られています。次亜塩素酸水や次亜塩素酸ナトリウムとして使用されていますが、名前は似ていても性質や効果は全く違うため、それぞれについて確認していきます。
次亜塩素酸水 | 次亜塩素酸ナトリウム |
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弱酸性 | 強アルカリ性 |
肌と同じpHであり、皮膚にダメージを与えることはありません。 | 金属の腐食や、皮膚を化学やけどさせる作用があります。 直接手に触れることや、目に入らないように注意することが必要です。 |
※次亜塩素酸の形態はpHによって異なります。
次亜塩素酸水 | 次亜塩素酸ナトリウム |
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弱酸性 | 強アルカリ性 |
次亜塩素酸が安定した状態で存在しています。 | 次亜塩素酸がイオンの状態で存在しています。 |
次亜塩素酸水 | 次亜塩素酸ナトリウム |
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用途ごとに最適な濃度はあるものの、そのまま使うことができます。希釈やゴム手袋の使用などの手間を考えずに使えるのは次亜塩素酸水の魅力です。 | ハイターが代表的なされるよう対象物にダメージを与えてしまうため、水で希釈して使用します。 |
厚生労働省のHPによると、
との記載があるように、次亜塩素酸ナトリウムの使用は推奨されています。
一方で、新型コロナウイルス対策における「次亜塩素酸水」の空間噴霧について(ファクトシート)改訂 令和 2 年 6 月 9 日現在 新型コロナウイルスに対する代替消毒方法の有効性評価に関する検討委員会事務局によると、
「次亜塩素酸水」の新型コロナウイルスに対する効果については、検証試験が継続中です。
と記されています。
まとめると、コロナウイルスへの有効性は次亜塩素酸ナトリウムについては認められているものの、次亜塩素酸水については認められていないということになります。
次亜塩素酸ナトリウムは、新型コロナウイルスへの効果が認められています。しかしながら強アルカリ性で、使い方を間違えると対象物にダメージを与えてしまうため、注意事項をしっかりと踏まえた上で有効に活用しましょう。
保育園は集団生活の場であるため、手で触れる共用部分の消毒はこまめに行う必要があります。ドアの取っ手などは 0.05%に薄めた市販の次亜塩素酸ナトリウムで拭いた後、水拭きするとよいです。トイレや洗面所は通常の家庭用洗剤ですすぎ、家庭用消毒剤でこまめに消毒しましょう。
参照:保育所における感染症対策ガイドライン”>保育所における感染症対策ガイドライン(2018 年改訂版)
あらゆる感染症に効果が認められていますが、今後の状況が変わることもあるため、積極的に情報を収集し、嘱託医との連携の元判断することをお勧めします。
また、日本小児感染症学会 新型コロナウイルス感染症に関するワーキンググループが作成し、
2020年3月25日に発行している保育園における新型コロナウイルス感染症に関する手引き第1版なども参考にしてみてください。
家庭においては空間が狭いことや、人間同士の距離感が近いことで3密になりやすいです。特に、タオルや食器、箸、スプーン等などが共用されやすいため、生活をイメージしたうえで次亜塩素酸ナトリウムの使用方法を伝えることが必要です。ウイルスは物についてもしばらく生存するため、帰宅後に手洗いをすることはもちろん、ドアの取っ手やノブ、ベッドの柵など、手に触れる場所にウイルスがつく可能性があります。
家庭の場合、消毒の習慣がついていないことも多いため、簡単な資料を作成し、配布している保育園もあります。
新型コロナウイルスの予防に効果が認められている次亜塩素酸ナトリウムですが、強アルカリ性の薬品でもあります。そのため、乳幼児が生活する保育園での使用には、以下の注意が必要です。
次亜塩素酸ナトリウムは分解しやすい薬剤です。分解が進むと、有効な殺菌ができないだけでなくトラブルを引き起こすこともあります。そのため、購入については、以下のような注意が必要です。
市販の塩素系漂白剤の場合、必ずラベルを確認し、記されている使用上の注意書きを守るようにしてください。購入前に商品の成分表示をよく確かめるようにしましょう。疑わしい場合は、購入を控えるようにしてください。
次亜塩素酸ナトリウムは分解しやすい薬剤です。使用時に希釈し、希釈後は保存は避けましょう。また、液体が放つ独特の臭いで気分が悪くなる可能性もあります。市販されている塩素系漂白剤には「詰め替え厳禁」と記されています。霧状の消毒液を吸い込んでしまう危険があるため、スプレー式の容器などを利用し噴射して使用することは絶対に禁止です。
次亜塩素酸ナトリウムは、手に触れた場合の化学やけどや独特の臭いによる体調不良など、園児に影響を与える薬品です。園児の手に触れることは絶対にあってはいけませんし、消毒を行う際は、 園児を離れた場所に移動させた上で使用しましょう。また、使用時は部屋の窓を開け換気を行うことも忘れてはいけません。
新型コロナウイルスの収束までには、まだまだ時間がかかると言われています。集団で生活する保育園に必要な対応を探ることで、より安全で安心な保育を目指すことができます。普段の保育の中で使用している消毒液の効能や清掃の方法などを見直し、園内でのマニュアル整備や共通認識を図る機会にしましょう。