【感染症予防対策】保育園・幼稚園で秋冬に流行りやすい病気

【感染症予防対策】保育園・幼稚園で秋冬に流行りやすい病気

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2020年10月9日

感染症予防についてどのような対策を行っていますか?保育園・幼稚園は集団生活なので感染症はすぐに広まってしまいます。ここでは子どもが罹りやすい感染症と予防法を知り、流行を広げないための対策や方法を考えてみます。

保育園で蔓延しやすい病気・感染症とは?

子どもの集団生活の場は、様々な感染症が蔓延しやすいものです。保育園や幼稚園ではどのような感染症が流行しやすいのでしょうか。特に秋から冬にかけての感染症を具体的に見ていきましょう。

水疱瘡とはどのような感染症?

水疱瘡は、「水痘」とも呼ばれ、「水痘帯状疱疹ウイルス」というウイルスによって引き起される発疹性の病気です。症状としては、皮膚や口の中に湿疹ができ、その後強いかゆみを伴い水疱が表出します。また、発熱を伴うこともあるでしょう。全ての水疱がかさぶたになると完全な治癒となります。空気感染、飛沫感染、接触感染により広がり、その潜伏期間は感染から2週間程度と言われています。また、一度罹ると免疫ができると言われており、再度罹ることはないようです。
学校保健安全法によると、水疱瘡の場合、出現したすべての発疹がかさぶたになるまでは出席停止となっています。 水疱瘡を発症してからカサブタになるまでの期間は7~20日程度です。

水疱瘡の治療法と予防は?

治療法は特になく、自然に治癒していくのを待つことになります。発熱やかゆみに対する対処療法を用います。

予防法
予防法としては、水痘ワクチン接種を受けることです。2014年から定期接種となったワクチンであり、接種を受けることで重症の水痘をほぼ100%予防できます。また、2回の接種により軽症の水痘も含めてその発症を予防できると考えられています。定期接種のため無料で受けることができます。

出典:水痘/厚生労働省

インフルエンザ

インフルエンザとは、インフルエンザウイルスを病原とする気道感染症です。ウイルスはA型・B型・C型・D型の4種類があり、ひとがかかるのはA型とB型です。風邪の症状と違い、38℃以上の高熱、頭痛、関節痛・筋肉痛、全身のだるさ(倦怠感)などの症状が急速にすすみ、さらには同時に現れる特徴があります。子どもや既往症のあるひと、免疫力の低下している人や老人などは重症化しやすく肺炎を起こすこともあります。

インフルエンザウイルスの治療法と予防は?

主な治療法は、抗インフルエンザウイルス薬の使用です。抗インフルエンザウイルス薬は、インフルエンザ発症から48時間以内に使用することが有効で、ウイルスが増えるのを抑える効果と体外に排出されるウイルスの量を減らす効果があります。その他の症状に対しては、対処療法が用いられそれぞれの辛い症状に対しての薬を投与します。

予防法
予防法としては、インフルエンザの予防接種を受けることが一番効果的でしょう。その年に流行するインフルエンザを予想し、そのインフルエンザに合ったワクチンが作られます。自治体によって接種がスタートする期日が違いますが、接種を受けることが予防となります。その他には日ごろから手洗いやうがいの徹底、マスクの着用、休息や栄養を摂ることを心がけましょう。

出典:インフルエンザ(総合ページ)/厚生労働省
 
インフルエンザウイルスの治療法と予防は?

ノロウイルス・ロタウイルス

ノロウイルス、ロタウイルスは、それぞれのウイルスによる感染性胃腸炎です。秋から冬にかけて流行し、おなかの風邪とも言われています。ロタウイルスは主に乳幼児が感染しますが、ノロウイルスは全年齢で感染し、潜伏期間は1日~3日ほどです。
どちらも主な症状は、下痢や激しい嘔吐です。嘔吐のあと下痢を発症します。発熱をする場合もあります。嘔吐物や便にはウイルスが付着しています。空気感染や接触感染を引き起こしますので、総吐物や便の処理は手袋を着用し、消毒をするなど、感染には十分気を付けましょう。通常は2日~7日で症状が治まります。
 
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ノロウイルス、ロタウイルスの治療法と予防は?

治療法としては、特に治療薬はありません。嘔吐をしている間は、何を飲んでも食べても吐いてしまうので脱水が心配ですが、吐き気が収まるまでは様子を見ましょう。落ち着いてきたら経口補水液などの水分を摂ります。脱水症状がひどいとき、ぐったりとしているときは、病院で輸液(点滴)をしてもらいます。
ロタウイルスにはワクチンがあります。流行して重症化しやすいウイルスを含む5種類のロタウイルスを弱毒化したワクチンで、4週間隔で3回接種します。生後3か月半までに1回目を受け、生後32週(224日)までに接種を完了します。 生後32週以降は接種することができません。定期接種のため無料で受けることができます。
ノロウイルスに関しては、ワクチンがありません。ノロウイルスは寒い時期の食中毒でもあり、感染者との間接的な接触(ドアノブに触る、嘔吐物などからの空気感染)から感染するウイルス感染でもあります。

予防法
予防法としては、石鹸を使ってしっかりと手洗いをすること、食品にはよく火を通すこと、部屋の換気をしっかりすることなどでしょう。

出典:ロタウイルス/厚生労働省
感染性胃腸炎(特にノロウイルス)について/厚生労働省

溶連菌感染症

溶連菌感染症(溶血性連鎖球菌)は、A群β-溶血性連鎖球菌とも呼ばれる細菌がのどに感染し、上気道感染症や皮膚の化膿を引き起こす感染症です。 咽頭炎や扁桃炎、舌や体に小さく赤い発疹が現れ、高熱が出ます。
潜伏期間は2日~5日、くしゃみや鼻水からの飛沫感染や、皮膚が触れたりタオルや食器などを共用したりすることから接触感染があります。

溶連菌感染症の治療法と予防は?

溶連菌感染症は薬をきちんと飲めば2日~3日で完治します。良くなってきたと感じても途中で薬をやめることなく最後まで飲み切りましょう。途中でやめてしまうと再発し気管支炎をはじめ様々な合併症を引き起こします。

予防法
予防法としては、石鹸を使った手洗いの徹底、タオルや食器の供用を避ける、感染者が近くにいる場合はマスクを着用することなどです。

出典:A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは/NIID国立感染症研究所

保育園で出来る感染対策や予防法とは?

保育園や保育士が知っておきたい、予防対策や蔓延を防ぐ方法、保護者への啓蒙や情報の共有などが大切になります。それぞれの方法を詳しく見て見ましょう。

保護者へワクチンの情報を伝える

ワクチンは、任意のものもありますが定期接種のものもあります。保護者の中にはそういった情報を得ていないか、得ていても忘れている人もいます。保健だよりやクラスだよりなどで、流行シーズン前に呼びかけを行いましょう。
出典:予防接種情報/厚生労働省

手洗い・うがいの徹底

感染症の流行を防ぐため、コップやタオルの共有は、ウイルスを増殖させ感染を広げます。コップやタオルは個人のものを使用し、毎日交換しましょう。
 
手洗い・うがいの徹底

室温と湿度の調節

湿度や室温を適度に管理することで、ウイルスの増殖を防ぐことができます。ウイルスは低温・低湿度状態を好んで増殖すると言われています。理想的な室温は20度以上、湿度は50~60%です。
出典:インフルエンザQ&A/厚生労働省

保護者へ子どもの栄養と休養をしっかり摂るよう啓発

栄養のあるものを食べ、ゆっくり休むようにすることが一番の予防です。仕事を持つ保護者のもと、子どもも忙しい思いをしており、食事がままならず、眠る時間が遅くなることも現代社会ではよくあることです。
感染症の流行するシーズンは、保育園でも無理な活動は避け、家庭でも休日はゆっくり体を休めるよう呼びかけましょう。

保育室、おもちゃなどの消毒

コロナウイルスの蔓延で保育園でも徹底されるようになりましたが、その他のウイルス感染症予防のためにも保育室や保育用具、おもちゃなどの消毒をこまめに行いましょう。
特におもちゃを口に入れることの多い未満児クラスでは、繰返し消毒を行うことが大切です。
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保健だよりを使って保護者へ情報共有

保護者は、仕事の忙しさゆえ季節性の感染症や子どもの体調に関して、社会情勢や情報を把握していないこともあります。集団生活の中で子どもを預かる保育園の責任として、流行している感染症の情報提示や、予防法、ワクチンの情報、普段から心がけたいことなど、様々な情報を伝えていきましょう。
クラスだよりやお便り帳だけではなく、掲示物で呼びかけたり、臨時のお便りを出したり、朝の受け入れ時に詳しく様子を聞くなど、様々な方法を取り入れ、園全体で流行の蔓延を防ぎましょう。

まとめ

集団生活である保育園・幼稚園で流行しやすい感染症の中から、秋~冬の期間で特に流行する感染症についてお知らせしました。また、その予防法やワクチンについてもご紹介しました。こういった情報をいち早く得ること、保護者と情報の共有をすることが、蔓延を防ぐことへつながります。
これからの流行の季節に向け、園の職員と保育士は感染症の症状や対処法の情報取得を個人任せにすることなく、園全体で学び、保護者にも伝えていきましょう。

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