発達障害の種類|保育士が認識しておくべき知識
少し気になる様子の子どもや、集団生活において配慮の必要な子どもが増えてきました。気になる子どもたちは、医師から発達障害という診断がついている子どもと、ついていない子どもと様々です。保育園としてどのような受入れ方が大切なのか、また、保護者との関わり方について考えてみましょう。
子どもを受け入れるときに、注意したいことを考えてみましょう。
子どもの障害について診断がつき、保護者にも理解と受け入れる気持ちがある場合は、「発達障害児」ということを前提に話を進めていきます。発達障害児と一口に言っても一人ひとりの特性や個性は様々。保育士や園として発達障害児の対応を心得ていたとしても、対応は一人ひとり違ってきます。保護者へ聞いておきたいこと、園として対応できることなどをあらかじめメモし、用意しておきましょう。
確認しておきたいこととしてはどのようなことがあるのでしょうか。
このようなことを聞いておきましょう。
保育園で受け入れるにあたり、医療機関や児童相談所、児童デイサービスや発達支援センターなど、ほかの機関とのかかわりがある場合は、情報の連携が大切になります。必ず関係機関や担当者名を聞いておきましょう。また、その際は情報の交換や情報共有をしても良いか保護者に確認を取ることも忘れずにしておきましょう。
保護者から情報交換の承諾を得られた場合は、関係各所と様々な情報を共有し、発達障害に関する専門家から関わりのコツやその子どもの特性を詳しく聞き、保育に生かします。保育園で過ごす時間が一番長くなることから、しっかりと情報を得ておくことが必要です。時にはこちらから関係各所へ足を運び、お話を伺いましょう。
発達障害のある子どもへの接し方には、どのような方法やコツが必要なのでしょうか。
クラスの園児数がどんなに少なくても、必ずもう一人保育士を配置しましょう。
特に入園して間もない時は障害のある子どもがどのような動きをするか見当がつきません。園内はもちろんですが、戸外活動をする場合は特に様々なことへ対応できるように職員数の確保が必要です。
クラス内で、日々の運営に関する確認や報告の時間を増やし、対応や運営に関する共通認識をより密にしておきましょう。また、クラスだけではなく園全体でも話し合う機会を多く設け、ほかのクラス担任や主任・園長などから客観的な意見をもらうことも大切です。
問題点をクラス内だけで抱え込まず、みんなでより良い方法を模索しましょう。
クラス担任以外に加配として付いた保育士が主となって関わりを持ち、まずはその保育士との信頼関係をしっかり築きます。個別に関わることで少しでも早く子どもの特性や行動の癖を把握しましょう。事故やケガにつながる行動が多くみられる時は、すぐにクラス担任や園内の職員へ報告し共通認識します。また、少しずつクラスの子どもたちとのかかわりが増えてきた場合は、トラブルからケガにつながらないようしっかり見守ります。また、子どもたちと自然に関われるよう保育士が架け橋となりましょう。
信頼関係が築かれれば、少しずつ集団生活のルールを知らせる、集団遊びに誘うなど、園での決まりや楽しみを伝えていきます。また、その子どもの良いところを言葉にして本人にたくさん伝える、友達やほかの保育士の気持ちを代弁し伝えていくこともしていきましょう。子どもが自信を持って園生活を送り、最終的には自立していくことを目指し、個別の計画もしっかり立てることも必要です。
わが子に発達障害があるとはなかなか気づかない、認めたくないという保護者も多くいます。そんなとき、園や担任保育士としてはどのような点に注意し関わらなければならないのでしょうか。
保育園で子ども本人が困っている姿を少しずつ伝えながら、家庭で保護者が困っている、育児に困難を感じていることがないか聞いてみましょう。
初めは、なかなか話してくれないかもしれません。保護者も何となくほかの子どもとの違いを感じながらも、障害があるかもしれないとは想像もしていない、障害があるかもしれないけれど認める勇気がないなど、複雑な気持ちをかかえていることもあるのです。
子どもの楽しんでいる様子や可愛らしい姿を伝えながらも、気になる姿を伝えることは保育士や園としての責任でもあります。少しでも早い療育や診断が、子どもの未来を左右することもあるということを柔らかく伝えていきたいですね。
障害のあるなしにかかわらず、育児のしにくい子どもはいるものなのだということを伝え、まずは一歩を踏み出せるきっかけを作ってあげたいですね。
保護者も家庭で育児に行き詰っている、ほかの子どもとの差を感じている、何か良い方法や育児の仕方について情報を欲しがっているようであれば、それとなく児童センターや発達支援センターなどを紹介してみましょう。
また、関係機関へ行く希望があれば、担任や園から先方機関へ連絡を取ってあげても良いでしょう。
発達障害のある子どもがなかなか園になじめず、いたたまれずに退園する例も多くあります。原因はどのようなことでしょうか。
保護者と一緒に子育てをしていく気持ちで、良い姿も心配な姿も情報交換をし、同じ方向をみつめて育てていくことが大切です。そういったコミュニケーションが不足すると、お互いに求めることがレベルアップしてしまい、苦情や文句、拒否につながってしまうことでしょう。
忙しくても最低限、月に一度は定期的に懇談する時間を設け、報告したり世間話をしたりし、情報を密に取り合うことが大切です。
発達障害とは生まれつきの脳機能障害であり、親のしつけや育児の仕方、愛情不足などのせいではありません。自閉症スペクトラム(ASD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害(AD)などがあり、診断をすることでさらに細かな障害が見つかることもあります。
保護者は自分の子どものことは理解していても、発達障害についての専門知識があるとは限りません。また、健常な子どもの保育については理解していても、発達障害児についての詳しい情報や、関わり方を知らない保育士も多いでしょう。
発達障害児に関する本を読む、研修会や勉強会に参加する、発達支援センターや医療機関などの専門機関で話を聞くなどし、関わり方についてしっかり学びたいものです。また、そこで得た情報について保護者にもぜひ報告し、情報共有をしましょう。
保護者が知っていることを保育士も知っているという事は互いに安心感を生み、先生も理解してくれているという信頼関係が築けます。保護者と保育士の信頼関係を築くことができれば、子どもはそれを察し保育士に信頼する気持ちをもつことで、園にもなじんでいくことでしょう。
退園につながるときは、こういった情報交換やコミュニケーション不足、発達障害に関する知識の希薄さが原因となってしまうことがほとんどです。
これを機に、発達障害とまではいかなくても少し手助けの必要な子どもや、育てにくい子ども、集団になかなかなじめない子どもにも目を向け、保護者にも様々な子どもの姿や育児の方法を伝えていきたいですね。
発達障害のある子どもは、時代背景の移り変わりから今後もっと増えていくでしょう。保育園や保育士ができることは、子どもと保護者にしっかりと寄り添い、同じ方向を見て前向きに育児をしていくことです。
今後、小学校、そして社会へと向かう子どもたちの世界には様々な人がいます。小さなうちから色々なひとがいるのだということを伝え、様々なことを受け入れていける人間を育てることが大切ですね。保育園や保育士はいつも「子どもと保護者に何ができるのか」を問いながら保育に向かいたいものです。