保育園年中の4歳児クラスとは?基礎知識と接し方・あそび・制作
5歳児とはどのような成長をするのでしょう。保育士は5歳児の担任になったとき、どのような工夫が必要なのでしょうか。今回は5歳児の基本的な姿と成長発達、あそび方や制作のヒント、個々とクラス全体に対する保育士の関わりのポイントを具体的にお伝えします。
保育園に通う5歳児はどのような特徴があるのでしょうか。保育園では一番大きい年長児は、保育園生活最後の一年となります。小学校入学へ向けて保育士はさまざまな刺激ある働きかけや関わりが必要になります。
まずは、5歳児の姿を見ていきましょう。
5歳になると運動発達機能はますます活発になり、複雑な動きや、複数の運動を同時に行うこと、扱いが難しい道具を使うこともできるようになります。
5歳の頃は、大人ができることの約8割程度のことが可能になると言われています。下記のような様子が見られるようになります。
5歳児になると文字や数字、図形などに興味を持ち、簡単な計算をしたり、自分の名前を書いたり読んだりできるようになります。
また、生活面では完全に自立しますが、まだまだ保護者や周囲の大人に甘えたり、寄添ってもらいながら自信を付けたり、気持ちを休めることもあります。
特に保育園では、様々な経験を通じて更に自信を付け精神的にも自立していきます。
友達同士の関わりがさらに深まる5歳児。
友達同士でどのようにしたら更に楽しく遊べるか、どのようなルールにするか、話し合いができるようになります。違う意見がでたとき、自分の思いと友達の思いをどうやってすり合わせたら楽しく過ごせるかも考えて過ごすようになっていくでしょう。
自分たちでルールを決める遊びの中には、ままごと・ごっこ遊び、鬼ごっこ、テレビゲームごっこなどのほか、ドッジボールや縄跳びなどがあげらます。
制作物や工作では、大きな段ボールを使って家を作ったり、ホットボンドを使って飾りつけを固定したり、はさみを使って複雑にカットしたり、クレヨンと絵の具などを使い分けて絵を描いたり、ダイナミックさと繊細さの両方を兼ね備えたものを作ります。
セロテープやのりをどのように付けたら丈夫になるか考えたり、ガムテープを細かく切ってたくさん貼りつけてみたりと、手先の器用さとこれまでの経験を活かした工作を楽しみます。
けんかやトラブルになったとき、5歳児は状況の説明・自分の気持ち・友達の気持ちを保育士に説明できるようになります。
この頃になると決まった仲の良い友達と遊び、小グループができるクラスもあります。それでも遊ぶ内容が変わると、その時々によって関わる友達が変わり、楽しくかかわることができるでしょう。
成長が著しい5歳児に対し、保育士はどのような関わりが必要なのでしょうか。押さえておきたいポイントを発達別に見ていきましょう。
子どもの体の動きを目覚めさせるような、様々な動きや運動を取り入れていきたいですね。少し難しいことに取り組ませ刺激を与えながら、繰り返し練習することでできるようになる喜びと自信を与えてあげましょう。
年長児クラスはさまざまな行事が増え、行事の中ではメインの出し物に参加することも増えてきます。そのような行事に合わせながら働きかけられるような遊びを取り入れていきましょう。
保育士は運動機能の発達を伸ばす遊びを提案し、子どもたちで作り上げていく喜びを共感できるような働きかけをすることが大切です。
運動機能の発達と並行して心の発達を目指すこともできますね。
保育士は出すぎることなく、子どもたちに寄り添いながらヒント程度のアイデアを与え、子どもは刺激を受けながら自分たちが主体になって考えたり楽しんだりできるようにしましょう。
小学校のスタートは、文字や数字の読み書きができること前提の場合も少なくありません。
保育園で出来ることは文字教育・計算教育ではなく、興味を育てるための「土台作り」ではないでしょうか。
例えば、意識して文字を黒板に書きながら説明したり、お当番の子どもは黒板に自分の名前を書いたり、クラスで欠席の子どもの人数を数えたりなど、文字や数字の概念を日常の保育の中に取り入れましょう。
また、制作の場面では、友だちと協力して作ることを楽しんだり、友達とイメージを共有して楽しんだり、道具の使い方を理解して正しく使うことがねらいとなります。
ひとりで一つのものを作るだけではなく、グループでの制作や、クラス全体で協力して作り上げる際には、子どもが主体的に取り組めるよう進めましょう。保育士は制作のイメージを広げられるようなヒントを与えたり、アイデアが浮かぶように色々な素材を用意することが大切です。
子ども同士で積極的に関わり、話し合って遊びを展開させたり、トラブルや喧嘩があっても自分たちで解決できる5歳児。
保育士は子ども同士の友達関係をよく観察し、友達との関わり方をよく把握しておくことが大切です。子ども同士でうまくやっているからと、子ども任せにしてはいけません。
人と関わるときのマナー、思いやりについて、また、人の嫌がることをしないなど、基本的な社会のマナーについて日ごろから伝えていきましょう。
喧嘩やトラブルが起きたときは、双方の言い分を聞いたり、前後の様子をしっかり観察しておく必要があります。双方に謝らせたり、喧嘩両成敗のような対応は、解決にはなりません。しっかりと言いたいこと、感じたことを言葉にして伝えあうことが大切です。保育士が時間をかけてゆっくりと関わることで、園児たちは相手の気持ちを知り、自分の気持ちを理解してもらい、納得できて初めて「ごめんね。」が出てくるもの…決して大人の自己満足で謝らせることのないよう、気を付けましょう。
自立とはどういうことを指すのでしょう。自立とは生活面も人との関わりも自分でできることかもしれません。ですが、困った時、疑問に思った時、誰かに質問したり助けを求めることも自立です。子どもたちはこれから小学校へ入学する時がきます。小学校はクラスの人数が増えるので一人ひとりに細やかな対応を期待できません。困っていても「どうしたの?」としゃがんで顔をのぞきこんでくれることはほぼないでしょう。まだ保育園のうちに保育士はどのような関わりをしたら良いのでしょうか。
園児にすぐに答えを示さず、自身で考える時間を与えましょう。
困った時はどうするかな?こんなときどうしたらいいと思う?など働きかけることも大切です。
子ども同士で声を掛け合えるような関係づくりを促しましょう。
なんでも保育士が立ち入るだけではなく、「困っている人はいないかな?」「作業が遅れているひとがいたら手伝おうか?って聞いてあげよう」などの声掛けをしましょう。周囲の様子を感じたり思いやる気持ちにも気づかせてあげられるといいですね。
一人ひとりの子どもにその子の良い面をしっかり伝えましょう。
自信のない子どもが増えています。「〇〇ちゃんはいつも片付けが丁寧だね。」「〇〇くんはお友達にそっと声を掛けてあげて優しいね。」など、子ども自身も気づかずしている素敵な行いを言葉にして伝えてあげましょう。子どもは褒められて嬉しいのはもちろん、先生が見ていてくれたんだと自信が付きます。この点については、その園児の保護者へも伝えましょう。保護者もとても嬉しいものです。保育士ならではの目線でぜひ伝えてあげましょう。
保育の時間はなるべく子どもが主体的に動けるよう、保育士は陰ながら促したりヒントを与えたりする程度にしたいものです。クラスの子どもが「自分たちで出来た!」と感じ、充実感を得ることが大切です。
保育士が前に出て、達成感を感じる保育では子どもはしらけてしまいます。子どもが主役の保育となるよう、ゴールや目的、ねらいは決まっていても、そこへたどり着くまでの過程は是非とも子どもに任せてみましょう。個々の子どもが大きく育ち、クラス全体としても高まっていくはずです。
5歳児の成長発達の特徴と、そのために大切な保育士の関わりを考えてみました。5歳児が成長する上でどのような関わりが必要か、常に目の前の子どもの様子をしっかり観察し、柔軟に対応していきましょう。