イヤイヤ期の園児に困ったときの保育士ができる対処法

イヤイヤ期の園児に困ったときの保育士ができる対処法

学び・遊び

2020年6月2日

2歳~3歳頃に多い「イヤイヤ期」。子どもの成長に欠かせない時期と言われていますが、毎日のイヤイヤに保育士も困り果ててしまうことがあるのではないでしょうか。そもそもなぜイヤイヤ期があるのか、保育士はどんなことを心がけた対処法が必要なのでしょうか。

イヤイヤ期とは?

イヤイヤ期は子どもが人間としての第一歩を踏み出して「自己の確立」をする時期。自己主張をするのは自分を認識してきた成長の証でもあります。大切なイヤイヤ期ですが、その時期はいつ頃始まるのでしょうか。また、終わりはくるのでしょうか。さらにはイヤイヤ期の子どもに関わるとき、大切にしたいことはどのようなことでしょうか。一つひとつ考えてみましょう。

1歳~2歳からイヤイヤ期がスタートする子どもがほとんど

1歳に入ると少しずつ自分でできることが増えてきます。また、保護者だけではなく周囲の人や友達とのコミュニケーションを楽しみ、大人にかわいがられることのうれしさを知る時期でもあります。大人を中心とした人との関わりのなかで相手の存在を理解していきます。
これまでは相手に対する自分の存在には無意識でしたが、イヤイヤ期が始まる頃には「自分」というものの存在に気付くようになります。なんでも自分でしてみたい、やってみたい、やらないと気が済まない…と、自己主張をしながら自分の存在を確認し、自立へ向かって歩んでいきます。
イヤイヤ期の自己主張があるからこそ、生活面での自立や人との関わりの中で折り合いを付けること、自分の気持ちをコントロールすることを覚えていくことができるのです。子どもが成長する上で大切なイヤイヤ期。わがままになるのでは?言うことを聞かなくなるのでは?などと心配をし、叱りつける必要はありません。誰もが通る道であり、しっかりと自己主張ができ周囲の大人が受け止め導くことでいずれ落ち着いていくものです。

大切にしたい保育士の対処法とは

イヤイヤ期で大切な関わりや対処法とはどんなことでしょうか。一番大切なことは、イヤイヤ期である子どもを否定しないことです。「できるわけないでしょう」「今は無理だよ」などと自立心を否定する、「うるさい」「ダメ!」などと脅して感情的になりその行動を制御しようとすることは逆効果になります。

こんなときどうする?実例対処法

実際にどのような場面でイヤイヤが発生することが多いのでしょうか。また、その時どのような対処法が有効になるのでしょうか。事例に沿ってみていきましょう。

「自分で!」自己主張が強いイヤイヤ期

靴を履く、服を着替える、おむつを外す、食事をするなど、今まで保育士の手助けが必要だったことをことごとく嫌がりすべて自分ですると自己主張をするイヤイヤ期です。
保育園は集団生活のため、ゆっくりとマンツーマンで向き合いながらできるのを待つことは不可能に近いことがほとんどでしょう。できるまでゆっくりと待ってあげたり、時にはやり方を助言したり、気分転換させながらうまく手伝ってしまえれば良いのでしょうが、そうはいきません。手伝った方が早いのに…。そう思って手を出すとさらに嫌がり怒りの感情がヒートアップしてしまいます。

「自分で!」と言ったときは、「そうだね、自分でしたいよね」と言葉で寄り添いながら、少し離れて見守ります。
できないと泣きながら癇癪を起したりているときは、「手伝ってもいい?」「ひとつは先生がするから、もうひとつは〇〇ちゃんがやってね!」などと子どもに主導権を持たせながら援助していきます。
子どもに見えないところでさりげなく援助し(ズボンを履くときに後ろだけ引き上げる等)一人でできた!という達成感を味わえるようにします。

 

「いやっ!」活動に参加しないイヤイヤ期

保育園は集団生活なので、一斉活動がほとんどです。決まった時間にトイレへ行く、一緒に出掛ける、集まって絵本を見たり保育士の話を聞いたりするなど、「みんなで一緒に」活動します。その活動の節目のたびに嫌がり、一緒に活動したがらないイヤイヤ期です。
保育園生活の中で一緒に活動をしない子どもがいる場合、例えば散歩などの出先の場合は、一人で公園に置いてくるなどすることができず、保育士が一人掛かりきりになることとなるでしょう。子どもの気持ちを切り替えて、なんとかみんなと動いてもらうために悪戦苦闘する保育士もいるのではないでしょうか。

まずは子どもの気持ちに寄り添って「帰りたくないよね」「みんなが待っているよ」「ママが心配するね」など、帰る気持ちを促します。また、時には「先生と少しだけ遊んだから帰ろうか」と話し、少しだけ遠回りをする、お花を摘んでから帰るなどすることでも納得する場合があります。

 
活動に参加しないイヤイヤ期

保育室内であれば、一緒にしたくない様子があれば見守りながら放っておき、こちらへ関心を示したときはすかさず誘って戻るように促します。
こういったイヤイヤ期がしばらく続いたら、少しずつ「今はみんなで集まる時間だよ」と、思うままにならないこともあるということをしっかり伝えていきましょう。
または、「今日は朝ごはん何を食べてきたの?」など気持ちを切り替えるきっかけになる会話をしたり、しっかり抱きしめたり体に触れてスキンシップを取ることが有効な場合もあります。
様々な対応を工夫しながらも、嫌だと言っても通らないこともあるということを自ら気づかせ、みんなと活動する方が楽しく、スムーズな生活の方が気持ちいいということを伝えていきましょう。

「寝ない」「食べない」ぐずり型のイヤイヤ期

食事や着替え、お昼寝など保育所生活に欠かせないことを拒むイヤイヤ期もあります。食事を食べない、お昼寝したくない、着替えは嫌だとぐずり泣いては自分の主張を通そうとします。保育所生活は時間で動くので、食事の時間やお昼寝の時間にこういったイヤイヤをする子どもがいるとすべての時間がずれ込んでしまいます。
食事を例にとると、食べないのなら水分だけ摂ればOKにしてみるのも一つの方法です。イヤイヤ期と遊びが楽しい時期とが重なり合っていることと、もしかしたら本当におなかが空いていないことも考えられます。こんな時は、子どもにある程度は任せ、家庭にはその日の状況をしっかりと伝えながらいつも以上に連携を取っておきましょう。
また、お昼寝をしない場合は、お布団に横になって体を休めるようにはしっかり伝え、無理に寝かしつけることはしないようにしましょう。もしかしたら朝起きるのが遅かったのかもしれません。

まとめ

イヤイヤ期は子どもの成長になくてはならない大切な時期です。対応をするのは根気と忍耐が必要になり関わるのは大変なことですが、イヤイヤ期は短い期間のこと。子どもの自我の芽生えは人間としての自立の第一歩。順調な成長を喜びたいものです。対応に困った時、壁にぶつかった時は、保護者に家庭での様子を聞いて良き対応があれば教えてもらい、同じクラスの職員間での話し合いや相談が大切になります。子どもに寄り添い、しっかりと受け止めながらも、どこまでを受け入れるか、こんな時はどんな対応をするのか、クラスの中で共通認識をし、同じ対応をすることでイヤイヤ期も早く収まっていくことでしょう。長い目とゆったりとした気持ちで関わっていきましょう。