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保育園,幼稚園での園だよりの作り方|ポイント、コツを抑えよう

運営・経営

2020年7月16日

保育園、幼稚園に通う子どもの保護者にとって「園だより」は、園のことを知るツールであり、楽しみの一つでもあります。今月はどんな行事があるのか、給食はどんなことに配慮されているのか、保育の中で心がけていることは何か…など、園全体の情報を伝えることで、日常のコミュニケーションをより豊かにすることにもつながります。
だからこそ、作成する担当者にとっては気にかけることが多い仕事でもあります。当たり前を見直し、自園の園便りがより活用できるポイントを見ていきましょう。

園だよりの役割

園だよりを発行する目的は、園からの「お知らせ」や「お願い」のイメージが強いです。
しかし本来の役割は、園の保育方針や保育目標、考え方を具体的に保護者に伝えることです。大半の保育園、幼稚園が月に1回程度発行しています。

園の方針や予定を伝える

園だよりでは、主に園の方針や予定を伝えることが中心となります。園での保育の様子や行事のねらい、日々の取り組みなどを説明することで、園としての考え方が伝わります。
各クラスの担任が作成するクラスだよりとの違いは、保育方針や年間行事に基づいていることや、園長や主任などの管理職が作成していること、給食や保健・地域の行事に関するお知らせを取り入れていることなどがあります。

子どもの育ちを共に喜ぶ

園と保護者は、子どもを育む協力関係だからこそ「子どもの育ちを共に喜ぶ」視点を大事にしたいものです。
保護者が目にすることができない「園内での子どもの様子」や「園児同士の関わり」「保育士の姿」など、人間関係や具体的なエピソードを記すことで、子どもの育ちの楽しさや、面白さ、成長の過程が伝わります。

書き方の工夫

手書きやパソコン、デジタル配信など、園だよりの書き方は園によって様々です。
どの方法であっても、誤字・脱字に気をつけることはもちろん、複数名で確認しましょう。
また、以下の3つのポイントについては、担当者以外の保育士から意見をもらい、改善を図りましょう。

  • どんな内容なら読みたくなるか
  • 必ず目を通してもらいたいところを見てもらえているか(伝わっているか)
  • 業務的な部分とほっとする部分のメリハリはついているか
  •  
    また、行事の連絡や、製作のために集めるもの、園外へ出かける行事などの保護者から協力を得たい事柄についても園便りを通じて知らせることがあります。余裕を持って1ヶ月以上前に告知をし、期日が近くなったら掲示板にも掲示することで、協力が得やすくなります。持ち物については、写真や絵で具体的な例を示すなど、伝わりやすいように心がけると親切です。

    構成はある程度固定化する

    毎月発行するものだからこそ、新聞や雑誌のように、全体的な構成は固定化しましょう。
    見る人にとっては、同じ場所に記載されていることは安心感につながり、見落としを防ぐことにもつながります。また、作成する人にとっても書き忘れを防ぐことになり、見返す際も便利です。

    言葉は短く、シンプルに

    園だよりは、すべての保護者に見てもらうものです。保護者の中には、普段文字を読み慣れていない方や、日本語以外が母国語の方もいらっしゃいます。様々な保護者が読むこと想定して、言葉はなるべく短く、シンプルにしましょう。

    「午睡」
      →「お昼寝」
    「自発的探究心」
      →「好奇心」「もっと知りたい」
    などに置き換えるといいでしょう。

     

    イメージしやすい文章を心がける

    園で毎日仕事をしていると、保育士間だけで伝わる共通語のようなものが出来ていきます。園内の記録や、会議の際に挙げるエピソードについては共通語でも構いませんが、園だよりを読む保護者は、日常を共にしていません。保護者にも伝わる言葉を選ぶことも大切です。

    「いつものお散歩コース」
      →「2回に1回は通るお散歩コース」
    「園庭の日陰」
      →「園舎の奥に植えてある、桜の木の日陰」
    より具体的な文章表現を心がけることで、情景をイメージしやすくなります。

     

    文字以外の工夫

    文字以外の工夫
     
    園だよりは、伝えたいことが伝わってこそ価値が出るものです。文字だけに頼らず、挿絵や写真、全体の構成などを工夫することで格段に伝わりやすくなります。
    特に、入園して1年目の保護者にしてみれば、行事の流れや雰囲気、用意するものなど、言葉だけではイメージが湧きません。
    タオルであれば、どのくらいのサイズで、デザインはどのようなものまでOKなのか、他の園児はどのようなものを持ってきているのかなど、具体的であるほど安心感を与えます。

    サイズを記載する場合
    約35x35cm よりも 3〜40cmx3〜40cm
    と書かれている方が親切です。

     

    内容と関係ある挿絵にする

    園だよりの挿絵は、空間を埋めるためや、全体的な雰囲気を明るくするために用いられることが多いようです。動物や植物、季節の行事に関係するものが主流ですが、あくまでも「大人」が読むものであることを理解しておきましょう。挿絵が多すぎると、かえって視覚的に混乱を招いたり、伝えたいことが伝わらないこともあります。

    読みやすい空間を作る

    月に一回の発行となると、つい「あれもこれも」と詰め込みたくなってしまいますが、読み物としては、ある程度の空間があることで落ち着いて見ることができます。
    文字や挿絵でいっぱいにするよりも、挿絵の代わりにシンプルな線や、行間よりも広めに空間をとって、コーナーが違うことを認識してもらえるように工夫しましょう。
    保育雑誌のおたより例に加え、自分が見やすいと思うチラシや、フリーペーパーなどを参考にしましょう。

    手書きと組み合わせる

    園だよりは、手書きやパソコンなどで作成します。誤字や脱字には気をつけ、何度も見直しをすることが大切です。
    近年はパソコンで作成されたものが主流になっていますが、写真の横のコメントや、特に注目してもらいたい表題など、部分的に手書きを用いることで、読み手の目を引くこともできます。
    アクセントとして、手書きを取り入れることも一つの方法です。

    園からの配布物には統一感が重要

    園だよりに限らず園から配布するものに統一感を持たせることは、園全体で同じ保育方針や保育理念に向かって保育をしているというイメージにつながります。
    統一感のある配布物を受け取る保護者は、安心感を抱き、園への信頼が高まることでしょう。

    大切にしていることの一貫性

    一人ひとりの育ちを大切にしているという園であれば、一人ひとりの子どもの興味関心をもとにあそびが展開している様子が伝わる写真を用いる、自然を大切にする保育を謳っているのであれば、子どもたちが自然と関わっている姿が伝わるエピソードを多く用いるなど、ちょっとした工夫で、園が大切にしていることが伝わります。
    食育に力を入れているという園の園だよりに載っている写真が、色合いの悪い食事の様子だと「園の言っていることは本当なのか」という疑問にもつながります。
    普段から大切にしていることを園内で共有しながら、配布物の隅々まで確認するように心がけましょう。
     
    大切にしていることの一貫性
     

    言葉の使い方

    私たちは普段の生活では「口語」を使って会話をしています。口語は日常会話の言葉使いなので親近感のある文面になりますが、園からの配布物としては口語ではなく文語を使い、より丁寧な印象を心がけましょう。
    他にも、「ら抜き言葉」や「さ入れ言葉」についても注意を払いましょう。言葉の使い方をマスターすることで、印象が良くなることはもちろん、子どもたちに話す言葉にも変化が生まれます。かしこまりすぎる必要はありませんが、国語力を高めるつもりで楽しく身につけることもできます。

    まとめ

    どこの園でも当たり前に作られている園だより。ポイントやコツを押さえることで、保護者からの信頼を得るきっかけになったり、保育方針や保育理念の共通理解につながったりと、嬉しい効果もあります。
    自園の園だよりを改めて手にとって、園内で話題にすることから始めてみましょう。