休園中の保育士に向けた、園長の関わり方!

コロナウイルス で休園中の保育園|保育士に対する園長の関わり方

運営・経営

2020年4月30日

新型コロナウイルスの感染拡大防止を受けて、全国各地の保育園が休園を余儀なくされています。休園と言っても対応は様々で、自治体や園の考え方や状況が大きく反映されています。また休園中の保育士の中には、これまでの日常が一変し子どもたちと会えない日々が続いていることに心を痛めていたり、感染のリスクを背負いながら勤務を続けている方が多いことも事実です。そこで今回は「休園中の保育士に向けた、園長の関わり方」についてお伝えいたします。

保育士の仕事は、日々のルーティンで成り立っている

保育士の仕事は、保育園に出勤し子どもたちを迎え入れることから始まります。日中は、子どもたちの遊びや食事、午睡などをサポートしながら、ひとりひとりの発達を促します。そして、安心安全な園内環境で過ごした子どもたちを、元気に保護者の元にお返しするまでが1日の流れです。デイリープログラムと言われる基本の流れを続けながら、行事の用意や書類作成、環境構成などを行っているため、毎日慌ただしくルーティンを回していると言えます。

コロナ休園による、保育園の日常の変化

保育士の仕事がルーティンで成り立っていることはお分かりいただけたと思います。保育園は子どもが通ってきてこそ、仕事ができる施設です。さらに1日の流れが決まっていることで、子どもの安心安全な生活を保障してきました。シーンと静まり返った保育園のなかで、保育士が気持ちを落とすことなく、再開に向けて準備を進めるために、園長の役割は大きいと言えます。今の現実を理解しながらも、オンライン研修や、環境整備、園内での会議などを企画し、大人同士のコミュニケーションを図る機会にしましょう。

休園中、保育士に対して園長ができること

「去年の今頃は○○をしていたけれど、今年は実施することができない。子どもたちがかわいそう」「6月の行事に向けて、子どもたちと予定していたものを製作できない。どうなるのだろうか」「家庭の状況が落ち着かない〇〇ちゃんは、元気にしているかな?」など、休園中の保育士には、不安がつきものです。
そんな保育士に向けて園長ができることは、

1・安心して仕事を休んでもらうための休業補償や体制を整えること
2・休園中にできる「子どもたちへのサポート」や「研修などの学び」を応援すること
3・休園が開けた時の園の状態を一緒に考え、準備しておくこと

 
この3つです。それぞれの保育士の置かれている状況を踏まえ、園長ができることを見ていきましょう。

コロナウイルスで休園中での保育士が出勤の場合

休園中の出勤の場合、室内環境の見直しや、書類の点検・再検討、少人数での話し合いなどを行うことができます。普段はまとまった時間を取ることが難しい日中の時間をフルに活用し、クラスの棚の配置変更や、使っていない物品の整理、倉庫にしまったままになっているおもちゃを出してみることなどに、しっかりと時間を充てることができます。クラスの環境の見直しを行う際、担任だけでなく、他の職員からも協力を仰ぐことで、園の中でのコミュニケーションを取ることもできます。研修などで学んできたことを実践する機会にもなると言えるでしょう。

在宅勤務・リモートワークの場合

在宅勤務・リモートワークの場合
 
これまで、持ち帰りのサービス残業として自宅で仕事をしてきた保育士も多いと思います。しかし今回は、持ち帰りのサービス残業ではなく、在宅勤務・リモートワークという業務になります。出勤している保育士が不平等感を感じることがないよう、仕事内容や時間配分を明確にし、報告の方法についても具体的に指示することが必要となります。

子どもが家にいる場合

子どもがいる保育士にとっては、自宅での仕事内容を検討する必要があります。特に、PCを使っての事務作業や情報処理などは、集中力や環境設定が重要となるため、ハードルが高いと言えます。手作りおもちゃの製作や、楽しい遊びを見つけて企画書を作るなど、子どもと自宅にいることをプラスにできる内容を設定すると良いでしょう。また、動画や映画、アニメなどを子どもと一緒に視聴して「自宅で楽しめるおすすめ映画」の記事を書いてもらう、子どもとできるクッキングに挑戦して、保護者に発信する。なども、子どもと一緒に楽しめる仕事だと言えます。
 
子どもが家にいる

コロナウイルスで休園中に園長ができる必要な配慮と指導

平常時だと後回しになっていることや、手をつけにくいことも、休園のタイミングで取り組むことができます。園長の立場でできる配慮と指導について、例を見てみましょう。

保育士への自宅の環境設定への配慮

自宅で作業をする場合、環境について確認することも園長にできる配慮の一つです。
例えば、ダイニングテーブルで広々と作業できる環境の職員もいれば、自分のスペースがほとんどない職員もいます。自宅のことなので、本人の自己申告を信じるほかありませんが、仕事内容について複数の案を出し、

「どの仕事だったらできるか」
「予想では、どれくらいの時間を要するか」
「実行してみて難しさを感じたら、いつでも相談して欲しい」

 
ということを伝えましょう。
ここでのポイントは、

「まだ誰もチャレンジしたことがないため、一緒に考えて、良い方法を探って行こう」という協働の姿勢

 
です。しっかりと話し合うことで、安心して自宅での仕事に取り組むことにつながりますし、職員との信頼関係を育む機会にもなります。

個人情報の保護に関する指導

個人情報保護法が2017年に改正され、取り扱う個人情報数によらず、ほぼすべての事業者が同法の適用対象となりました。保育園も例外ではなく、個人情報保護方針(プライバシーポリシー)が定められていることでしょう。
保育園の書類や写真など、個人情報に関わるものを園からの持ち出す場合は、厳重な注意が必要です。自宅での作業を行う際、保育園のセキュリティー環境とは異なるため、PCをインターネットに繋ぐことは避けましょう。また、個人のパソコンや自宅のWi-Fiを利用することで情報漏洩のリスクが高まってしまいます。個人情報の管理マニュアルを整えた上で、持ち出し確認書や誓約書を作成し、持ち出すデータについては2人以上で確認するようにしましょう。
持ち出しを行わない場合でも今回の休園を機に、園ではどのようなルールで個人情報を扱っているのか、保育士個人にしっかり認識してもらいましょう。
さらに万が一の状況に備えて、園で掛けている保険の「個人情報漏洩に関する補償内容」についても確認しておくことをお勧めします。

コロナ特休を設ける

自宅待機・リモートワークの設定が難しい場合や、普段忙しくしていることを労うことを目的に、コロナ特休を設けている園もあります。保育士にとって、とてもありがたい制度ではありますが、出勤している保育士が不公平感を感じないための配慮が重要になってきます。その対応として、休園中に出勤している保育士に対しては、自粛期間が終わった後に特休を与える場合、「コロナ特休の時は自宅から出れなかったのに、今休んでいる人の方が得ではないか」というような不満も生まれるでしょう。今回の特休はあくまでも、人の命を優先するための判断であることや、休園中に出勤している職員は、感染のリスクを負っていることなどをしっかりと伝えることで、トラブルを防ぐことができます。
 
コロナ特休

まとめ

今回の新型コロナウイルスの感染拡大への対応については、指針や基準はあっても、正解と言えるものはまだありません。だからこそ、それぞれの園が工夫して運営を行うことが可能とも言えます。子どもと職員の命を守ることと、開園に向けた準備の両方を、職員と一丸になって取り組むことで、より質の高い保育を提供することが叶います。