保育園年長の5歳児クラスとは?基礎知識と接し方・あそび・制作
保育園では年中児である4歳児。4歳児の基本的な発達・成長の姿と運動発達とはどのようなものなのでしょうか。個々とクラス全体に対する保育士の関わりのポイントを具体的に考えてみましょう。
保育園の中ではお兄さん・お姉さん的な立場となる4歳児の子どもたち。自分でできることが増え、生活面ではほぼ自立をしていることでしょう。半面、精神的な発達はまだまだ幼く3歳児と4歳児の間を行ったり来たりしているような姿も見られます。
赤ちゃん扱いされるのを嫌がり大人っぽいそぶりを見せたかと思えば、融通が利かなく泣いたり怒ったり反抗したり。1歳~2歳の時に見られたイヤイヤ期とは違う反抗期「4歳児の壁」と呼ばれる姿を見せる子どももいることでしょう。
4歳児の体の発達と、精神的な発達の姿とはどのようなものなのでしょうか。
4歳児になると全身のバランスが整い自分のイメージするとおりに体を動かせるようになります。スキップやでんぐり返しなど、目で見て頭でイメージした動きを自分の体で表現できるようになる時期でもあります。
また、手をたたきながら歩く、ジャンプしながら前に進むなど、二つの動きを同時に行う運動も可能になります。さらには自分で縄を持って回しながら飛ぶ縄跳び、キャッチボールなど、タイミングを考えて行う運動も器用にできるようになります。
これらの運動はすぐにできることではなく、繰り返し行うことで自らタイミングやコツをつかんで上達します。保育士は日ごろの保育の中で運動機能の発達を意識した遊びを取り入れながら、成長を促すことが大切です。
4歳児になると友達や保育士との関わりに下記のような大きな成長と変化が見られます。
保育士は基本的には子どもの姿を見守りながら、困ったり迷ったりしている場面では必要に応じて声をかけ援助します。多くのことをできるようになり一見自立しているように見えますが、まだまだ成長途中であり「行きつ戻りつ」をしながら自信を付け、4歳児の壁を乗り越えていくのです。
様々な成長がみられる4歳児の子どもたち。成長や発達を促す保育士の関わりとはどのようなものなのでしょうか。関わりのコツを見ていきましょう。
子どもの運動機能の発達を伸ばす遊びをふんだんに取り入れていきましょう。日常の保育の中で体を思う存分動かして遊ぶ時間を豊富に取り入れます。
ただ、走ったり追いかけっこをするだけではなく、ルールのある遊びを取り入れたり、子どもたちとオリジナルのルールを考え遊ぶのも良いでしょう。また、チームに分けて競い合う遊びも楽しめますね。
運動が苦手で体が器用に動かせない子どももいます。みんなで一斉に同じことをして遊ぶときは特に保育士がそばについて手をつないだり、自信を失ってしまわないように励ましやコツを伝える言葉がけをし個別に関わるように留意します。また、運動が苦手な子どもがチーム戦などの遊びの中で他の子どもに責められたり、負けの要因と言われたりするようなことがあるかもしれません。そんなときこそ、クラス全員で学ぶチャンスと捉え、子どもたちと話し合ったり意見を交換する時間を作りましょう。
保育士は、子どもをクラス全体として見る時と、個々の姿として見つめる時があるはずです。一人ひとりの子どもの成長発達を見つめて、4歳児として到達している点、伸ばしていきたい点をしっかりい把握しておきましょう。一人ひとりを把握できたとき、クラスとして重点を置いていかなければならないのはどのような働きかけなのかも同時に見えてくるはずです。
例えば下記のようなことが考えらるでしょう。
4歳児は少しずつ友達同士でケンカを解決しようとしたり、他の子どもが仲裁に入ったりする姿が見られます。また、相談したり譲り合ったりしながら遊びを進める楽しさを知る時期でもあります。その日の体調や機嫌によってはトラブルにつながったり、ルールを守れず暴れたり泣いたりすることもあるでしょう。また、相手の気持ちを考えず、自分の意見を通そうとすることもあります。
保育士はそういった子どもの日々変わる姿に一喜一憂することなく、心をおおらかにし、丁寧な言葉を添えた関わりが大切になります。同じことを繰返し伝えることになっても根気よく、双方の気持ちを代弁してあげることが大切ですね。無理やり謝らせ合うことをさせず、気持ちを代弁したり受け止めたりした後は黙って見守りましょう。「4歳児の壁」と言われる自信と甘えの間で揺れ動く子どもの心にしっかりと寄り添うことを忘れずにいたいですね。
子どもは誰しもが必ず成長していきます。その土台になるのはしっかりと受け入れられ自分で得る自信です。しっかりと気持ちを受け止めてもらい、気持ちよく生活することで自信をつけ、歩き出すことへつながります。保育士と子どもの双方で壁を越えていきましょう。
生活面での自立、友達・保育士との関わり、運動機能など、すべての面において成長が著しい4歳児。年長になる前には身体的にも精神的にも様々な葛藤や行きつ戻りつが見られます。
保育士は、一人ひとりの姿をしっかりと把握し意識した関わりが必要になります。
最終的な目標やねらいが全員同じであっても、その過程や援助の方法はさまざまです。目標とする姿に到達しなくても、遠回りであっても、その日その時の姿をしっかり受け止め、見守り、適切な関わりをしていきましょう。すべての子どもに同じ関わりや声掛けをすることなく子どもにあった言葉をかけ援助していきましょう。
また、保護者にもすこしずつ成長した姿や気になる姿を伝えあい連携を深めていくことが大切です。
子ども一人ひとりの目標や援助は違って当然です。年長クラスへの進級に向けてどのような1年にするか、どのような成長を目指すか、年間だけではなくその都度子どもの成長や支援についてスタッフ間で話し合い、雑談を大切にしながら情報交換をしていきましょう。
4歳児は行きつ戻りつしながら、成長をしていきます。
保育士は時にはしっかり甘えを受け止めながら、子どもが自ら自信をつけられるよう、様々な刺激と関わりをしていくことが大切です。また、保育士の関わりだけではなく、友達同士で育ちあえる環境であることも大切です。一人ひとりの子どもの姿と成長を把握していれば、必ず友達同士で育ちあう関係ができていくものです。基本的には個別の関わりを大切にしながら、良きところや成長したところはしっかりと言葉にして全員の前で褒めたり、「できたね!」「うれしいね!」と個別にも伝えていきましょう。
また、クラスとしての成長や、子ども同士で成長した姿も、朝の会や帰りの会などクラス全体の時間に保育士から伝えるようにしましょう。こういったことも自信や自立へとつながることになります。
子どもの成長を感じるとどうしてもクラス全体の姿としてとらえがちです。何歳であっても子ども一人ひとりの成長発達や課題、育ち方は違いますね。
保育士は時に見守り、時にアドバイスや支援をしながら子どもの発達に刺激を与える保育をしていきましょう。
ただ子どもと遊ぶだけではなく、声かけや遊びの提供、おもちゃの配置ひとつをとっても目的やねらいを念頭に置く必要があります。
専門職である保育士として、常に子どもにとってどうすることが最適であるか、保育内容と環境の設定、保育士同士の情報交換、保護者との連携を考えて保育に当たりましょう。