保育園年少の3歳児クラスとは?基礎知識と接し方・あそび・制作

保育園年少の3歳児クラスとは?基礎知識と接し方・あそび・制作

学び・遊び

2021年2月10日

保育園で年少児クラスである3歳児の基本的な姿と成長発達はどのようなものなのでしょうか。あそび方や制作のヒント、個々とクラス全体に対する保育士の関わりのポイントを具体的にお伝えします。

3歳児とはどのような特徴があるのか?

未満児クラスから進級して年少クラスとなった3歳児と、新規に入園してきた3歳児とがいる年少児クラス。まだまだ成長の個人差は大きく、生活面での自立が確立されていない子どももいるでしょう。
おもらしをする子ども、中にはお昼寝中はオムツが必要な子どももいます。月齢の低い子どもと高い子どもの差は歴然です。例えば4月生まれの子どもと、翌年の3月生まれの子どもは約1年の差があります。3歳児の時期はこの月齢差の成長度合いの違いが大きい時期。年中に向けて少しずつその差は目立たなくなっていきます。
また、中には上に兄弟のいる子どもや保育歴のある子どもは月齢が低くても生活経験が高く、発達が早い子どももいます。
そういった個人差を踏まえた3歳児の基本的な姿を見ていきましょう。

3歳児の運動発達とは?

3歳児は運動能力が飛躍的に成長する時期です。体の様々な機能を使って複雑な動きや持続的な運動、二つ以上の動きを同時に行うことも可能になってくるでしょう。しなやかな動きができるようになりますが、まだ先の予測がつかず、怪我も多くなる時期でもあります。以下のような姿が見られるようになります。

  • 体をひねってボールなどを投げる
  • 片足でバランスを取りながらボールを蹴る
  • 小さなものを指先でつかみ、指先の力加減も自在にできる
  • 起き上がる、狭いところを渡る、鉄棒などにぶら下がるなど体のバランス感覚を使う
  • バランスを崩しそうになった場合は立て直すなど、体幹が安定してくる
  • 音楽に合わせて走る・歩く・踊る・止まるなど反応できるようになる
  • 片足ケンケンをしながら前進する、三輪車を漕ぎながら生きたい方向へ行くなど、二つの動きを同時に行うことができる
  • 3歳前までは、バランスを崩し転びやすく、体の筋肉や関節を使いこなせないために動きがぎこちないのですが、3歳を過ぎる頃からバランス感覚と体幹が大きく成長することにより、器用でしなやかな動きや運動が可能になってきます。

    3歳児の知的・精神的な発達の姿とは?

    3歳児頃は1700語から2000語程度の言葉を確立すると言われています。大人ともある程度の会話が問題なくできるようになるでしょう。5つくらいの言葉を組み合わせて話すことができるようにもなり、「どうしてこうなったの?」「なぜ〇〇は〇〇なの?」など質問が増えてくる時期でもあります。
    このように言葉や会話が多くなり、言葉を通したイメージやそこにないものを思い浮かべながら話すこともできるようになります。
    また、数の概念もはっきりと認識していきます。1つから5つくらいまでの数を数えることと、その数についての概念も一致してくるでしょう。例えば「5つあるりんごの中から3つのりんごを取る」などの考え方ができるようになります。友達と同じ数に分けるなどもできるようになるでしょう。
    さらに、「〇〇ちゃんの方が多い、少ない、大きい、小さい、早い、遅い」など比較の概念も確立します。記憶力も発達し、「昨日、〇〇ちゃんがここで転んだよ」などと思い出し、言葉で人に伝えることもできるようになります。

    3歳児の社会的な発達、友達との関わり・遊び方は?

    友達とは、名前を呼び合い、同じ遊びを通して関わりが広がります。決まった仲良しの友達と関わるというよりは同じ遊びをしている友達と共有することを楽しみます。「かして。」「いれて。」「ありがとう。」「ごめんね。」などの言葉を介してコミュニケーションを取ります。
    まだまだ自分の気持ちをうまく伝えられず、相手の気持ちを受け入れることも難しいですが、自我はしっかり芽生え、競争心も出てくる頃なので、喧嘩も絶えません。

    保育士の接し方のポイントとは?

    3歳児は自立と依存を行ったり来たりしながら、次のステップへと進んでいく段階です。友達同士の関わりや、生活面での自立などはまだまだ発達の途中であり、保育士の援助や仲立ちが必要です。
    それでも、自分でできることが増え自信が付いてきます。何でも自分でやりたがり、手伝いをしたがります。そのような自立心は、個々の成長を見極めながら黙って見守り、必要なときだけ言葉や手をかけるなどし、すぐ助けてしまわないように心がけましょう。

    運動発達を伸ばす関わり・遊びのポイント

    運動や作業などを通して、体の動きはもちろん、先のことを予測しながら遊ぶ力をはぐくみます。公園の大型遊具で遊ぶこと、自然と触れ合いながら遊ぶこと、危険の予測や用具の使い方、ルールを伝えることも大切です。
    ドッジボールや鬼ごっこ、グループごとに競争しあうゲームなど、ルールのある集団遊びを取り入れてきましょう。ルールを守らない子ども、極端に不器用でそのせいでチームが負けてしまいトラブルが発生するなど、子どもたちが小さな問題に直面し、それをどうとらえ、解決していくか、どうしたらみんなが楽しめるのかも一緒に考える機会につながります。
    また、クラスみんなで同じ遊びをすることが楽しいと思えない子どもも見えてくるでしょう。そんなときは保育士が個別に心をかけ、仲立ちとなり楽しさを伝え、共感していくことが必要です。

    知的発達を伸ばす関わりポイント

    知的発達を伸ばす関わりポイント
     
    初めて触れる素材や、ダイナミックな遊びを取り入れた制作を取り入れていきましょう。保育の中では、まだ経験をしたことのない遊びが多くあるはずです。
    粘土やフィンガーペインティング、絵の具にも積極的に触れさせるような制作を取り入れましょう。大型段ボールなどを使いグループごとに制作するのもいいですね。いつも関わる友達関係から制作を通して関わりが広がることでしょう。共感することでクラスの結束や仲間意識も高まるはずです。
    また、文字や数字をさりげなく日常的に取り入れ、意識的に使いましょう。物の個数、クラスの人数、友達の名前などを文字にして書きながら伝えたりするだけでも、子どもの意識は高まっていくことでしょう。

    社会的発達を伸ばす関わり

    3歳児は友達への関心に個人差が大きい時期です。友達と遊ばない子どもに関しては保育士が仲立ちとなり子ども同士が関われるような橋渡しが大切です。

    例:ままごと遊び
    【お友達と一緒に遊ばない場合】
    ままごとなどのごっこ遊びでは保育士が前面に出る必要はありません。
    「これ〇〇ちゃんに、どうぞって持って行ってあげようか?」のように声かけし、子ども同士が自然と関わるような環境を作りを意識しましょう。
    保育士が橋渡しをすることが大切です。

     

    例:3歳児のけんか・トラブル
    トラブルに関しては、それまでの関わりや様子をしっかり観察しておくことが大切です。
    子ども双方の言い分をよく聞き、お互いの気持ちを代弁してあげることが求められます。
    子ども同士が納得していないのに、喧嘩両成敗のように双方に謝ることを求める、善悪の判断を保育士がするということはしません。
    どんな気持ちだったのか、これからはどうしたらよいのかを子ども自身が知ることを目的とした仲裁になるように気を付けましょう。
    謝るのはその時でなくてもいいのです。結果を急がず、子どもの気持ちを大切にし、しっかりと気持ちを受け止めることで、子ども同士はもちろん、保育士と子どもとの信頼関係も結ばれていくでしょう。

    このような細やかな関わりが、クラス全体の深まりにつながるのです。

    クラス運営の目的と関わりのポイント(全体を通した保育士の関わり、姿勢)

    子どもの背景には必ず家庭があります。家庭で安定した関わりがあって初めて園でも楽しく自分を発揮し過ごすことができます。保育士は家庭との連携や会話、雑談を通した観察を重ねていくことが大切になります。
    特に3歳児は自我が芽生え、大人に対する反抗的な態度が出てきたり、自分の思うようにいかないことがあれば癇癪を起したり、泣いたりする時期であり、家庭では手を焼いている保護者も少なくありません。保育園では集団生活のルールを守っている子どもでも、家庭では子どもの反抗的な態度に疲れている保護者もいます。ぜひねぎらいの言葉をかけ、困っていることや大変なことはないか聞いてみましょう。
    悩みを保護者が話してきたときは、「大変ですよね…3歳のこの時期は自己主張が強くなってくる時期で、説明しても納得しないし、困ることが多いですよね」などと共感とねぎらいの言葉をかけましょう。
    「園では落ち着いて過ごしていますよ。」「そのうち良くなりますよ。」などと話してしまうと保護者は「子どもの愚痴を言ってしまったのかな、家庭ではうまくできていないことが恥ずかしい」などと思ってしまいます。ぜひ、共感しながら3歳児の姿を伝え、困った姿も成長のステップであり、どの子どももそうなのだということを伝え安心してもらいましょう。
    保護者の心の安定や、誰かに聞いてもらえたという開放感は、子どもの育児につながります。家庭でしっかりと子どもを受け止める余裕ができるかもしれません。家庭で向き合ってもらえる子どもは保育園でも心が安定し、しっかりと自己を発揮して園生活を送ることができるでしょう。

    まとめ

    保育園年少の3歳児の姿を詳しくご紹介しました。また、成長発達を良く知った上で保育士が関わるポイントや大切にしたいこともお伝えしました。
    人間らしく成長し、社会性が高まる3歳児、しっかりと受け止め、安心した中で存分に自分を発揮できるよう、家庭との連携を密にしながら、みんなで一緒に育ちあっていきたいですね!