【企業主導型保育事業】コンサルタントってどうなの?ノウハウがなくても運営できる?

運営・経営

2020年3月23日

一般企業の保育事業参入を促進している企業主導型保育事業。これまで、保育事業の経験がない事業者にとって保育事業に参入する機会となり、待機児童対策にも大きな貢献を果たしています。とは言っても、保育のノウハウがない事業者から、開園にあたっての不安の声を聞くこともしばしば。保育園の開設にあたっては、制度の理解から、構想・計画・申請と、事前準備だけでも同時並行で進めることが多いことが理由のようです。そこで今回は、保育園をスムーズに開園し安心して運営するための、企業主導型保育事業向けのコンサルタントやサポート会社の活用について考えていきましょう。

保育園の運営経験がなくても企業主導型保育園を開園できる?

保育園を開園するためには、長い時間と多くの労力が必要です。事業計画から設立、保育園の開園、そして運営に至るそれぞれの段階では、必要となる専門知識や手続き内容、申請先も異なります。行政とのやりとりや、子ども向けの施設の設計や備品の選定、保育士をはじめとする専門人材の募集や面接など、これまで経験したことのない特殊な仕事が多くあるため、一つ一つに手間がかかってしまいます。
保育園の運営経験がなくても運営自体は可能ですが、申請に関しては年間を通して新しいものが出てきます。また、子どもの成長には毎日に変化があり、感染症対策や行事への対応など、日々新しく対応することが生まれます。
運営経験がない事業者が保育園を開園する場合は、まずは計画から開園までをスムーズに進めるためにコンサルタントやサポート会社の活用も視野に入れましょう。特に、企業主導型保育事業の開設にかかる申請については、時期が限定されており多くの事業者が応募してきます。書類の不備が多かったり申請のタイミングを逃してしまうと、予定通りに開園ができなくなることもあるため、自社で行う場合は細心の注意が必要です。

企業主導型保育事業の申請は難しい?

企業主導型保育事業の申請は、以下の3つの段階に分かれています。

申請前(事前調査から助成決定まで)

企業主導型保育事業者として助成を受けるためには、まずは事業者として承認される必要があります。細かな要件を満たし、申請を通すためには煩雑な書類の作成や手続きがあります。特に法律や税務に関する知識が求められるため、知識を得ることからスタートすることに難しさを感じる事業者が多いようです。

 

申請後
 
申請が通り企業内保育の事業者として認められると、保育園の開設に向け具体的に準備を始めます。保育園の運営に必要な保育材料や備品の調達、運営計画の作成、そして保育士や園児の募集など対外的な仕事も含まれす。この時期は、消防やハローワーク、保険会社、園児の入所に関する申請業務などが発生するため、同時に様々なことを行う必要が出てきます。

 

開設後
 
保育施設が開設し運営が始まると、日々の保育はもちろんのこと職員の労務管理や季節の行事に向けた準備など、多くの業務が発生します。その他監査への対応や毎年の申請、経営に関する調査や園児募集、保護者への説明なども必要になります。

 
以上のように、開設についての申請内容は多岐にわたっています。また、届出制ではないため、小さなミスや不足についても細かくチェックする必要があり、開園までに間に合わないことも出てきます。自社のスタッフでできないこともありませんが、申請のノウハウを持つコンサルタントやサポート会社を活用し、効率的に開設することも選択肢の一つです。

運営の全てを他社に任せると、運営スキルが備わらない

企業主導型保育事業は、運営を委託できる業者もたくさんあります。開園後に運営の全てを運営会社に委託するという方法もありますが、それでは保育園の運営スキルが備わることはありません。開園当初でも自社でできることを洗い出し、足りない部分のサポートを運営会社に委託する方法を探していきましょう。例えば、保育士の確保や指導、給食の調理と栄養管理を他社にお願いし、園児募集や経理関係、職員の労務管理は自社で行う方法もあります。自社にすでにノウハウがあるものを活用するために、サポート会社とよく話し合いましょう。また、年数を重ねるとノウハウも蓄積してきます。園長や主任保育士を中心に目標を掲げ、サポート内容を見直しながら、計画的に運営スキルを備えていくことをお勧めします。

コンサルタントやサポート会社を活用して運営できる

運営のノウハウがなくても安心して運営

コンサルタントやサポート会社を活用して運営できる
 
開園後の運営については、保育のスキルや保護者対応などの専門知識も必要となるため、新規事業者にとってはハードルが高く感じます。確かにゼロからスタートすることは難しいことですが、コンサルタントやサポート会社を活用することで、ノウハウがなくても開園することは可能です。業者によって、様々なサポートのプランが用意してあります。運営後のサポート内容については、子どもの成育環境に配慮した計画策定、保育士の確保、保育士の研修、マニュアル作成、運営費の申請手続き、施設の維持・管理、運営最適化に関するサポートなど、細分化されています。実際に企業主導型保育事業を開園した事業者の中には「何とか自社で開園したが、運営がうまく行かずに閉園に至った」という保育園もあります。開園は一つのゴールではありますが、その後の運営は継続的に続いてきます。ほとんどの業者が要望に合わせたサポートプランを用意しているため、一度相談してみることをおすすめします。

保育士の確保ができない場合は派遣スタッフの活用を検討

企業主導型保育事業は働く保育士がいないと成り立たない事業です。そのため、保育園の運営には、現在現場で起きている問題に対しても、事前に検討しておくことが必要です。
ご存知の通り、近年の保育士不足は顕著です。離職者や潜在保育士が多いことに加え、新規開設園が増えていることも理由として挙げられます。また、放課後児童クラブや放課後児童デイサービス、子育て支援施設での保育士の需要が高まっていることも影響しています。

社会的な保育士不足に加え、人材が園に定着しにくいこともあり、保育士一人当たりの採用コストは年々上がっています。自社だけで保育士を確保する場合は、保育士の採用から行うことになります。子どもの人数に対して保育士の配置が必要であることから、年度途中で退職者が出ると安定的な運営ができなくなってしまいます。また産休育休や介護休暇など、長期的に代替えが必要になることもあります。
 
保育士の確保
 
保育士不足が社会的に問題になって以降、派遣としての働き方を選択する保育士も増えています。自社の保育士だけで最低基準の人数を満たすことが難しい場合は、派遣スタッフを活用して運営にあたることも検討してください。派遣会社との関わりを持っておくことで、急な離職や一時的な休職にも、慌てずに対応することができます。また派遣スタッフは、保育士を確保しにくい時間帯や、入園時期や行事前などの特に忙しい時期など、部分的に利用することも可能です。自社の保育士の働きやすさを考える上でも、派遣スタッフを柔軟に活用するといいでしょう。

まとめ

企業主導型保育事業をスムーズに開始し、保育園を安心して運営していくために有効な、コンサルタントの活用やサポート会社への運営の委託についてまとめました。短期的に見ると、コンサルタントやサポート会社を活用することで初期費用が増します。しかし、活用によってスムーズな開園が可能となり、安定的な運営を行うことができるため、長期的にみると利益につながると考えられます。また、離職者を出さないためには、働く環境や保育の専門知識に基づいた研修の実施も必要です。企業主導型保育事業に特化したコンサルタントやサポート会社を活用し、安心して運営していく道をぜひ検討してみてください。