保育指導案の書き方・年間計画、月案、週案、日案の指導案作成 

運営・経営

2019年10月29日

保育指導案とは子どもたちがどのように成長をして行くかを想定し、目標を立て、それに伴う活動を詳しく考えていく保育計画のことです。
保育所諸育指針にのっとり、受け持ったクラスの子どもたちが1年後にこうあってほしいと目指す目標と、そのためにできることを明確化していくためには、どのようなことに注意したらよいか、「保育指導案」について具体的に考えていきましょう。

保育指導案の種類

保育指導案の種類は、大きく分けて4つの種類があります。
長期的な年齢なりの成長や行事・イベントを見通すための年間指導計画、季節や成長の時期を意識する月案、1週間の活動を見通し短期的な目標と子どもの姿をとらえる週案、今日一日の活動とその目標を考える日案です。

長期指導案

年間指導計画は、4月に立てられることが多い計画でしょう。

4月

担任はクラスの子どもたちが前年度はどういったクラスの様子だったのか、また一人ひとりがどのような個性や性格、成長過程にあるかを細かく確認しながら、
1年後に子どもがどのような姿に成長していってほしいか
を長期的に考えます。
また、年間指導計画は1年を通して行われる行事やイベントを把握することで、取り掛かる準備に必要な日数や、準備をスタートする日の目安も計画立てていきます。

短期指導案

短期指導案は、月案週案日案のことです。

月案
その月に達成したい子どもの姿、その月に行うイベントに向けてどのような意識づけをしていくかを考えます。

週案
1週間を通して保育の詳しい内容を計画立てる指導案です。散歩の目的地、制作の内容、行事やイベントの準備など、大まかな1週間の流れを考え見通します。

日案
今日一日の保育の流れや時間配分、準備すること、保育士の配置などを考えます。日案を毎日詳しく立てることは忙しい毎日の中では大変なことなので、経験のある保育士はざっと頭の中で子どもの姿を想定し、目標を立てることもあるでしょう。

1年未満の保育士であれば、リード(一日の流れを主となって行う)の日の日案を先輩保育士に見てもらい、確認・指導してもらうこともあります。

保育指導案の書き方・年間計画、月案、週案、日案の指導案作成 

保育指導案を作成する理由と気をつけること

保育指導案を立てるのはなぜなのでしょうか。また気を付けるべきポイントとはどのようなことなのでしょうか。

保育指導案を作成する理由

保育指導案は、基本的には保育所保育指針に基づき計画立てられます。

“全国の保育所においては、この保育所保育指針に基づき、子どもの健康及び安全を確保しつつ、子どもの一日の生活や発達過程を見通し、それぞれの保育の内容を組織的・計画的に構成して、保育を実施することになる”

保育所保育指針/厚生労働省ホームページ

保育士は専門職であり、子どもの健全な心身の発達を目指して、五領域である「健康・人間関係・環境・言葉・表現」の各領域における「ねらい」「内容」「内容の取扱い」をしっかり把握し、クラスの子どもの成長や雰囲気、個性に合わせてうまく微調整しながら計画立てることが必要です。専門職である保育士として、専門的な知識をもって計画を立てることが子どもを健やかにはぐくむことへとつながるのです。

保育指導案は保育の質の向上のため、無くてはならないものなのです。

保育指導案を作成する時に気をつけること

保育所保育指針によれば、保育所とは福祉施設であり教育を行う場でもあります。
また、保護者への支援や地域へ開かれる支援も必要とされています。

保育所保育指針に基づき保育計画を立てることで、指針に示されている「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の項目に到達できる子どもに育っていくことが大切です。
その内容とは下記の通りです。

  • ・健康な心と体
  • ・自立心
  • ・協同性
  • ・道徳性・規範意識の芽生え
  • ・社会生活との関わり
  • ・思考力の芽生え
  • ・自然との関わり・生命尊重
  • ・数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚
  • ・言葉による伝え合い
  • ・豊かな感性と表現

保育所保育指針より

年齢なりの目指すべき子どもの姿を目標として計画を立てる時に、忘れてはならない大切なことは、
子どもを集団として見つめるのではなく、一人ひとりを見つめることです。
指導案を立てる時、クラスの子どもたちのことをよく見つめ、子ども不在の指導案にならないよう十分に気を付けていきましょう。

一人ひとりを見つめること

保育指導案の書き方とポイント

保育士同案の書き方とそのポイントについておさらいしましょう。

年間指導計画

1年間の園全体と学年のイベントや行事を予定に入れながら、その時期・季節にできること、経験させたいこと、取り組み始める時期を見通し計画を立てます。

年間指導計画

季節ごとに4つに区切る、毎月ごとに区切るなど、1年間を途切れることなく目標や達成したいことを継続して続けられるように考えます。

生活面、遊びの面での目標と予想される活動、子どもの姿、保育士の動き、取入れたい題材など大まかながらも書き込むことで、その時期に見返すことによって計画した目標やアイディアに立ち返ることができます。

月間指導計画

その月にあるイベントを中心に予想される子供の姿と、それに対する保育士の働きかけや気を付けることを通し目標とする姿に近づけることを目的とします。

月間指導計画
イベントがあればいつから取り掛かるか、アプローチはいつからにするかも書き込んでおきましょう。
月案は週案や日案に落とし込みしていくものなので、年間指導計画よりは少し詳細に書く必要があります。

また、月案は子どもひとり一人の目指したい姿や課題も一緒に書き込めるといいですね。
特に配慮が必要な子どもや気にかかる子どもについて、どういった関りや援助が必要かも記入しておきましょう。

週案

1週間のうちに行う活動の予定と目標を記入していきます。3歳以上児の週案は月案に近く、3歳未満児は少し簡略化して立てることが多くなります。

戸外活動の目的地、制作物について、室内遊びや行事などの活動内容と、留意事項、保育士の動きのも記入しておきましょう。

日案

時間と活動内容、配慮すべき事項を記入します。計画を立てた人ではなく誰がクラスに入っても動けるようにする計画書を作成することが大切です。

一日の流れや子どもの様子など、日ごろの保育からイメージし記入すること、天候の変化や保育士が他のクラスへ補助に入るなど、計画変更になることも想定した代替え案や、そのための準備することも記入しておくと尚いいですね。

例:晴れ→散歩・ドングリ拾い
  雨→室内・折り紙でどんぐりを作り飾る 
など
 
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年齢別・指導案のポイント

それでは実際に年齢別に指導案を立てる時に気を付けることやポイントを見ていきましょう。

3歳児

集団生活の中で自分だけではなく友達の存在を意識し、一緒に遊ぼうとし、簡単なルールのある遊びを楽しめるようになる3歳児。

3歳児
 
生活面では衣類の着脱や排せつ面、食事・睡眠などの成長にまだまだ大きな個人差がある年齢でもあります。
個人差を踏まえながら、3歳児として達成したい目標を掲げていきましょう。

また、保育士との信頼関係をベースに、保育園生活を楽しみ、援助を受けながら自立に向けての土台作りとなる1年です。
クラス全体としてはもちろんですが、一人ひとりの成長や課題をしっかり見つめ、褒め、認める言葉を細やかに伝えていきたいですね。

まだまだ自分の気持ちを言葉にして相手に伝えることができずトラブルが多い年齢でもあります。
保育士が仲立ちとなり代弁し、ゆっくりと見守り友達関係を育てていきましょう。

4歳児

赤ちゃんっぽさが抜け、子どもらしくも自立していく年齢である4歳児。

4歳児

まだまだ生活面や学習面では個人差はあるものの、自分でやろうと意欲的になる子どもも多くなってくる年齢です。
そのため、クラスや集団として見て満足し、個人差を見落としがちにならぬよう保育指導計画についてはさらに個々の課題や目標についても意識していく必要があります。
 
同じような課題を持つ子どもを想定し、生活面であれば「偏食の多い子どもやペースの遅い子どもには、保育士が近くに座るようにし、促しや声掛けを意識的に行う」など子どもの姿とそれに対する対応を明確化しておきましょう。
 
複数担任制の場合は、想定される子供の姿と対応すべきことについて指導案を基に繰返し話し合うことや意識をすり合わせることを増やし、課題を確認することが必要となります。

4歳児は特にそういった必要事項も指導計画には書き込んでおきたいですね。

5歳児

保育園生活も残り1年となる5歳児クラス。

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小学校入学へ向けた様々な自立と、安心した環境の中で友達と十分に遊び楽しむこと、自然にふれる、日常の様々なことに関して心豊かに感じ取り、言葉で表現するなど目指す目標や達成したい姿もより一層豊かになっていく年齢です。
指導案の中では、やはり一人ひとりの様子をしっかり把握し、受止め認めること、豊かな人間関係へと広がる遊びや環境の工夫や設定を大切に考え計画立てましょう。

入学が近くなる後半はクラスが浮足立ち、落ち着かなくなることもあります。
保育士はそういった子どもの心の動きや戸惑いも敏感に察し、丁寧な関りをしていきたいですね。
また、イベントや行事も他の学年より多くなるので、準備に追われないよう日程もしっかりと考えて計画していきましょう。

まとめ

指導案は、本や資料に載っている指導計画そのままではなく、目の前の子どもたちの成長や個性に合わせて計画立てることが大切です。
 
またクラス全体の指導案として作成しても、子ども一人ひとりの姿や課題を見つめ把握することが大切です。
そのためにもぜひ作成した指導案を何度も開き、見返し、保育士も振り返り軌道修正するなど確かめながら保育にのぞみましょう。