保育園にAEDの設置義務はあるのか?
保認定こども園・幼稚園・認可保育所などで発生した事故件数
内閣府の統計では2018年(平成30年)に保認定こども園・幼稚園・認可保育所などで発生した重篤な事故は1221件ありました。うち死亡事故は9件ありました。認定こども園・幼稚園・認可保育所などで発生した死亡事故に関しては2008年(平成20年)から10年間で、合計148件発生しています。(「平成 30 年教育・保育施設等における事故報告集計」より) 過去10年間で毎年平均14人前後が亡くなっている計算です。少数ではありますが、自分たちに関係ないとは言い切れないのでしっかりとした安全な対策をとる必要があります。
AEDの必要性
日本では 平成30年に317,268人が心臓を原因とする急病で救急搬送されています。 (平成30年版 救急救助の現況より ) 心疾患の原因となる病態は様々ですが、心室細動が多いとされています。心臓マッサージや人工呼吸などの心配蘇生法だけでは心室細動から回復させることは難しく、救急車を呼んでも間に合わないことが多くあります。救急車が到着する前にAEDを使用することができればその救命率が上がるため、近年AEDの設置が急速に普及しています。
AEDの適正配置に関するガイドライン
厚生労働省は、AEDの効果的かつ効率的な設置に向けた指針として「AEDの適正配置に関するガイドライン」をまとめています。 これによると、以下のように記載されています。
設置が推奨される施設:幼稚園
設置が考慮される施設:保育所・認定こども園
幼児のみならず、1歳未満の乳児に対してもAEDは使用可能です。近年、規模の大きな乳幼児施設ではAEDの設置が進んでいます。規模の小さな保育所でAEDを保有することが難しい場合、同じビルの中や近隣のAEDをすみやかに使用できるようにしておくことが望ましく、使用の際は、未就学児に対しては小児用モード、小児キーあるいは小児用パッドを用いることが望ましいが、すぐに対応できない場合は、成人用のAEDを使うことをためらわないことが必要です。
「AEDの適正配置に関するガイドライン」より
設置義務はないが保護責任が生じる保育園には必要
法的に、乳幼児は心身の機能が未熟であるため、健康を損ないやすく、危険を回避する能力が低いと判断されています。万が一、事故が起こった場合、保育の現場では施設側の責任を問われ、訴訟に発展する事例が多くあります。基本的に裁判所は「園児には危険予知能力や危険回避能力が低いので、保育園や保育所は保護責任と安全配慮の注意義務がある」という判断を下しています。 よって、もし急に園児が心停止になった場合、適切な対処を行わなければ保育園や託児所の責任が問われることになるのです。
訴訟されるリスクを抑える
万が一、不慮の事故が起こり、訴訟されることになった場合、「なぜ起こったのか?」「どう対処したのか?」「防ぐことはできなかったのか?」という説明ができることが大切です。突然の急な事故の説明をしっかりと行うためには、事前に準備が必要です。 もし保育のカタログに掲載しているAEDを使用した事に関して、刑事告訴される事態になった場合、現場の状況を思い出して説明するのは難しいかと思います。 AED本体に備えられた機能のおかげで証拠として提出できる可能性があるでしょう。
AED本体に周囲の音を録音:最大4件、最長15分
万が一に備えてチェックしていたセルフテストデータ:最大3000件
心電図のデータ:最大1000件5秒ごと
保育園や保育所は、危険の防ぐことはもちろんですが、万が一の事故には、どう対応したか詳細な説明を行い保護者からの信頼を得て、今後の不信を招くことが無いよう普段から努力しておくことが大切です。
耐用年数、法定耐用年数から保育所へのAED導入を考える
AEDの導入を検討している保育園に向けて経営的な目線から考えてみましょう。 法定耐用年数は4年です。メーカーの耐用年数は約7年の場合が多く、保証期間は5年が一般的です。AEDの導入には、リース(レンタル)、購入の方法があります。導入する場合はリース(レンタル)が多い
AEDを購入すると初期費用が高額になり(さらに消耗品は別途購入が必要)、精密機械ゆえ数年ごとに買い替えが必要となることから、月々一定の支払いによりリース(レンタル)を行う施設が多いようです。リース(レンタル)のメリットデメリットを見ていきましょう。