保育の指導案とは?
そもそも保育のなかで、保育指導案はどのような意味があるのかを考えてみましょう。 保育所保育指針解説書の3保育の計画及び評価には、子ども自らが興味や関心をもって環境に関わりながら多様な経験を重ねていけるようにするためには、保育士等が乳幼児期の発達の特性と一人一人の子どもの実態を踏まえ、保育の環境を計画的に構成することが重要となる
と記されています。つまり、指導計画や指導案は子どもが保育園生活の中で充実した時間を過ごし、健やかに育つために作成すると言い換える事ができます。ねらいや活動の内容、保育士の援助や環境構成などをイメージし、細かく記載する事で見通しを持った保育を行う事ができます。
また、保育指導案は、保育がその場しのぎになってしまうことを避け、子どもの発達に即した保育を実践するために不可欠なものです。保育に対してあらかじめ計画を立ることは、保育士間で価値観の違いが生まれたり、日々の保育に迷いが生まれた際のよりどころにもなります。保育指導案は、日々の保育の中で現時点での育ちや興味を把握し、1年を通してどのよう目標をもって保育を行うのかを記した年間計画に始まり、年間の目標に向けて月、週、日単位で、具体的にどのような活動や働きかけを行うのかを記載いた月案、集安、日案の4種類があります。
また、作成する際の注意点としては、以下の4点が挙げられます。
保育の指導案のねらいと内容
保育指導案は、厚生労働省の保育所保育指針で、年齢ごとに示された「保育のねらいや内容」を踏まえて作成します。ねらいと内容は「乳児保育」「1歳以上3歳未満児の保育」「3歳以上児の保育」に分けて記載され、保育の目標を目指す目的で分類された5領域で構成されています。それぞれについて確認しましょう。指導案のねらい
保育所保育指針に示されている「ねらい」は、保育によって実現したい、その年齢の子どもたちの姿を言語化したものです。 例えば「1歳以上3歳未満児の保育に関わるねらい及び内容」の「表現」という項目では「感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して、豊かな感性や表現する力を養い、創造性を豊かにする」と記され、以下の3つが掲げられています。【引用】保育所保育指針
これらをもとに、指導案の中で具体的な「ねらい」を立てていきます。 例えば「身体の諸感覚の経験を豊かにし、様々な感覚を味わう」をもとにした日案のねらいは「指先や手のひらを使って、小麦粉粘土の感触を味わう」や「歌や写真をもとにイメージを膨らまし、体を使って表現することを楽しむ」などです。「表現活動」と聞くと音楽、身体、造形などが浮かんできますが、保育の中では技術よりも「子どもが心で感じていることを、作品や行動に表わしているかどうか」を重視しましょう。指導案の内容
保育指針における内容は、ねらいを達成するために保育士がとるべき行動や、保育士の援助を得ながら子どもに経験させたい項目がまとめられたものです。「1歳以上3歳未満児の保育に関わるねらい及び内容」の「表現」という項目では、ねらいに基づき以下の6つの内容が示されています。【引用】保育所保育指針
これらを参考に、指導案の中で具体的な「内容」を記載します。 例えば「水、砂、土、紙、粘土など様々な素材に触れて楽しむ」をもとにした日案の内容は「保育士が作った小麦粉粘土で、自分の興味があるものを製作する」となります。また、内容の取扱いについては④身近な自然や身の回りの事物に関わる中で、発見や心が動く経験が得られるよう、諸感覚を働かせることを楽しむ遊びや素材を用意するなど保育の環境を整えることを参考にすると良いでしょう。指導案の書き方(テンプレート付き)
保育指導案の中でも、年間案や月間案などの長期案は、保育方針をもとにした大枠の指導案です。1月後・1年後の子どもたちの成長した姿をイメージし計画を立てます。また短期案ではできるだけねらいを絞って、より具体的な案を立てます。まずは長期案を立て、その目標に向けて詳細に週案・日案を作成していきます。ここでは、日案の記載をもとに見ていきましょう。指導案を書く手順
指導案を作成する場合は、1年間を通して目標とする計画を立てた後、それに沿って月、週、日々に下していく形で組みたてると分かりやすいです。作成する手順としては、まず年間の指導案からはじめ、月案、週案、日案と続けて書くことが一般的です。 記載する上で効率的な準備は、以下の通りです。- 対象となる子どもの興味や発達段階、保育士との関係性などについてじっくりと観察する
- 働いている保育園の保育方針をしっかり把握すること
- 前年度、前々年度の指導案や日誌に目を通す
月案を書く際のポイント
月案を書く際は、その月に予定しているイベントや、季節の行事、経験するであろう事柄をイメージしましょう。例えば、保育園では、春になると新しい友達と出会い、夏には暑い日々の中でプール遊びやお祭り、秋は食物の収穫や運動会を経験することになります。そして、冬になると進級・入学への意欲や、自分自身の成長を実感することになります。また、担任として感じた、子どもたちの心身の成長や葛藤などを盛り込んでもよいでしょう。
月案のテンプレート→ダウンロートはこちら
週案を書く際のポイント
週案は、その週に行う保育の計画に基づいた指導案です。したがって、月案よりも具体的な内容を記載する必要があります。先週の保育や子どもの姿をもとに、次の1週間にどのような保育を予定しているのか、天気予報や子どもの姿の予想なども踏まえ、身近な情報を盛り込みながら、1週間の計画を立てると良いです。特に、子どもたちの興味のある遊びは、週単位で変わることも多いため、丁寧に観察しているかどうかが週案の精度につながります。
週案のテンプレート→ダウンロートはこちら
日案を書く際のポイント
日案は、週案の内容を達成するために、その日にするべきことを詳しく計画し、時系列で記入していきます。登園から降園までの子どもの1日の生活を想定しながら、週案で設定した1週間の内容をより細かく、毎日の達成度も考えながら書きましょう。ほかの指導計画書とは違って、時系列で活動をくわしく記入することが特徴です。前日の子どもの姿をふまえて、さらに翌日に何をすべきかを考えて予定を立てます。 日案の記入例(活動部分)
日案のテンプレート→ダウンロートはこちら
製作は、子ども一人ひとりの興味やスキルが分かりやすい遊びの一つです。「表現」という視点で捉えた場合、子どもの心が色濃く投影されていることもあります。子どもの発達を、ハサミやノリの使い方や、指先の器用さ、色の好みなどだけで判断せず、一人ひとりの興味や関心、心もちをしっかりとイメージした指導案作りを目指しましょう。
≪ 関連記事 ≫
保育指導案の書き方・年間計画、月案、週案、日案の指導案作成
指導案の作り方のポイント
保育指導案を書く際の共通のポイントについて確認しましょう。年・月・週・日どの案でも共通して言えることは、日々の保育を丁寧に観察すること・共通認識を図ること・言葉や方向性を統一することです。一つ一つ見ていきましょう。